眼科医 約60年の寿命しかない「目」が光を失う可能性は今や誰にでも…「いずれなる」と思って備えたい<白内障>の初期症状とは
◆白内障の「様子見」が引き起こす「緑内障」 そんな身近な白内障について、ぜひとも知っておいてほしいことは、「緑内障」との密接な関係です。 白内障を「誰もがなるから」と軽く考え、「手術はいよいよ見えなくなってから」などと放置してしまうと、時間差で緑内障を引き起こしてしまいます。 白内障が進行すると、水晶体の変質が進みます。その影響で水晶体は厚みを増すことになり、角膜と水晶体の間を通過する「房水」の通り道となる「隅角」が狭くなるのです。 房水の流れとは、血管のない角膜や水晶体に酸素や栄養を運んでいる大切な要素です。 その通り道がさまたげられると、眼圧が上がり、視神経の障害や細胞死から視野が欠けていく緑内障を起こしてしまいます。
◆最初にすべきは白内障の手術 眼科医学の国際学会では「緑内障の手術治療で、最初にすべきは白内障の手術である」と宣言がなされたほど2つの病気は関係があるのに、日本ではあまりその世界の常識が普及していません。 白内障では、現在、手術しか治療法はありません。症状を改善し、悪化を止める効果がある点眼薬は世界のどこにもないのです。 緑内障の合併を防ぐためにも、「見えにくくなった」と感じたタイミングで早めに白内障の手術を受けましょう。 適切な白内障の手術後は、多くの場合、「隅角」が広がり、房水の流れが改善されて、眼圧も下がります。 ※本稿は、『100年視力』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
深作秀春
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