ドラフト最速右腕、中村優斗の将来像は? 重なるのは平良海馬 スピードと制球力に"肉付け"が必要か
ただスピードとストライクゾーンに投げ込めるだけの制球力を高次元で備えていることは確かで、打者が慣れるまでの一回りであればプロでもある程度抑えられる可能性は高い。それを考えるとまずはリリーフでスタートし、徐々に投球の幅を広げながら引き出しを増やして先発に挑戦するというのがプロで活躍するための最適ルートと言えるのではないだろうか。 投手のタイプとして重なるのは平良海馬(西武)だ。プロ3年目から3年連続で50試合以上に登板し、2022年には最優秀中継ぎ投手のタイトルも獲得。昨年は先発に転向して11勝7敗、防御率2.40と見事な成績を残した。今年は怪我もあって夏場から中継ぎに配置転換となったが、来季以降また先発に戻る可能性もある。平良も先発転向にあたって球種を増やすなどしており、辿ってきた道のりは中村にも参考になるはずだ。 ただこれはあくまでも一つの例であり、チーム事情によってはいきなり先発を任せられることも十分に考えられる。ただそうなった時に大学時代のスタイルのままでは、ある程度イニングを投げることはできても、貯金を作ることは難しい可能性が高いだけに、どちらにせよ投球スタイルや球種などを見直す必要はあるだろう。 少し厳しい評価も書いたが、それは即戦力として期待する声が大きいことの裏返しでもある。何よりもストレートの勢いは大きな魅力なだけに、それを最大限生かせるような進化をプロでも遂げてもらえることを期待したい。 文●西尾典文 【著者プロフィール】 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。