トンデモナイ感じがするけど科学的な話 4選
3. リチウムを含んだ「黄鉄鉱」をめぐって現代版ゴールドラッシュが起こるかも
パイライトあるいは黄鉄鉱。鉄と硫黄から成る鉱物ですが、見た目のゴールド色から金とまちがわれることがあり、「愚者の黄金」と言われることもあります。 が、この愚者の黄金は現代では全然愚者ではありませんでした。 約3億9000万年前にアメリカのアパラチア盆地で形成された15の岩石。そこからリチウムが発見されたからです。 リチウムは電池を作るのに必須であり、クルマからパソコンまで幅広い製品のバッテリーに必要。特に電気自動車の普及でその需要が非常に高まっています。 研究チームの論文にはこうまとめられています。 「リチウムは有機物に富んだパイライト岩の中に隠されているのかもしれません。パイライトはアパラチア盆地で一般的なミネラルであり、もしリチウムが経済的に採掘できるとわかれば、この場所がパイライトの採掘場となる可能性もあります」 新ゴールドラッシュの幕開けとなるかもしれません。
4. シャチが強すぎて海の生態系が崩壊しはじめる
南アフリカ沖のシャチを研究している研究チームは最近、1頭のシャチがたった2分でホオジロザメを捕食する様子をとらえたそうです。 シャチはホオジロザメのおいしさに味を占めているよう。肝臓だけ食べられたサメの死体がいくつも浜に打ち上げられています。 ローズ大学の海洋生物学者で研究の主著者Alison Towner氏はリリースで以下のように述べています。 南アフリカでは以前と同様に、シャチはホオジロザメの脂肪が豊富な肝臓をえぐり取り食べるという強い傾向を示しています。これは特殊な摂食行動です。この目撃は、少なくとも1頭のシャチが単独で狩りをしている証拠を示し、この地域で知られていた集団での狩りの行動に変化が出ています。 シャークスタディーセンターとシエナ大学の研究者で著者のPrimo Micarelli氏は、以下のようにコメントしています。 南アフリカを20年以上毎年訪れてきて、シャチが地元のホホジロザメの個体群に与える深刻な影響を観察してきました。スターボード(有名なシャチ個体、名前がつけられている)がサメの肝臓を私たちの船の前を運んでいるのを目撃したことは忘れられません」と述べています。 シャチに対する畏敬の念もありますが、それよりもはやり沿岸の海洋生態系のバランスについて心配しています。 サメに付けられた追跡タグや目撃データによると、シャチのせいで、ホホジロザメは沿岸の特定の地域を訪れなくなったとされています。つまり、お腹を空かせたシャチが生態系の食物連鎖に影響を与えているということです。 昨年末、オーストラリアの海岸にも肝臓のないホホジロザメが打ち上げられ、南アフリカ以外のシャチもおいしいところだけ食べる狩りの方法を学んでいることが判明しています。 他にもシャチは、地球最大の大きさとされるシロナガスクジラでさえも捕食し、人間が乗る船も攻撃するという行動をしているのです。
中川真知子,そうこ,かみやまたくみ,岩田リョウコ