星空に浮かぶ手のようなパルサー風星雲「MSH 15-52」 X線宇宙望遠鏡チャンドラの打ち上げ25周年記念画像から
こちらは「コンパス座」にある約1万6000光年先のパルサー風星雲「MSH 15-52」です。青色とオレンジ色に着色された2つの構造が、まるで輝く炎に向かって伸ばされた手のように見えてきませんか? 超新星爆発によって生み出された「宇宙の手」新たな画像をNASAが公開 パルサー風星雲(パルサー星雲)とは、高速で自転する中性子星の一種「パルサー」から吹き出すパルサー風(電子と陽電子の流れ)によって形成されると考えられている天体のことで、パルサー風が周囲の物質と衝突することでX線などの電磁波が放射されています。MSH 15-52を形作っているパルサー「PSR B1509-58」は、“手のひら”の付け根にある明るい部分に位置しています。 この画像は、アメリカ航空宇宙局(NASA)のX線宇宙望遠鏡「Chandra(チャンドラ)」の打ち上げ25周年を記念して公開された25天体の画像のうちの1つです。X線は人間には見えない波長の電磁波ですが、ここではチャンドラの観測データは青とオレンジで着色されています。青はパルサー風星雲からの高エネルギーのX線、オレンジは低エネルギーのX線に対応しています。 また、この画像はチャンドラの観測データに加えて、チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置された観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」による背景の星々の観測データ(赤、青)も使用して作成されました。DECamはその名が示すように暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の研究を主な目的として開発された観測装置で、画素数は約520メガピクセル、満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影することができます。当初の目的である暗黒エネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されました。 チャンドラの打ち上げ25周年を記念して作成されたMSH 15-52の画像は、NASAやチャンドラを運用するスミソニアン天体物理観測所のチャンドラX線センター(CXC)から2024年7月22日付で公開されています。 Source NASA - 25 Images to Celebrate NASA's Chandra 25th Anniversary CXC - 25 Images for Chandra's 25th Anniversary: 25 Images to Celebrate!