「ガタンゴトン」「ゴリゴリ」 丹精込めて伝統のつばき油作り 五島・今村椿製油所
長崎県五島市で、伝統のつばき油製造が始まった。昔ながらの製法を守り続けている同市平蔵町の今村椿製油所では、長年使い込まれた機械から「ガタンゴトン」「ゴリゴリ」と独特の音が響き渡り、琥珀(こはく)色に輝く油が丹精込めて作られている。 1929年創業の老舗工場。戦後から稼働する特殊機械が並ぶ作業場で、原料の粉砕から蒸し、搾油、ろ過まで、各工程を入念に管理。早朝5時に始まる作業では、繊細な温度調整と時間配分に細心の注意を払い、添加物を一切使用しない純粋な製品を丹念に仕上げていく。 つばき油は食用や、頭髪と肌の手入れ用として販売するほか、化粧品メーカーなどに出荷する。今年は市内農家などから約15トンの実を買い取り、10月中旬ごろから製油を始めた。来年3月ごろまで作業は続く。 今年9月に父の今村光次さん(74)から3代目代表を引き継いだ光博さん(48)によると、今年の実の収量は高温で昨年に続き少ないものの、品質は良好だという。光博さんは「伝統を守りつつ、期待に応えられるよう頑張りたい」と話した。