相続対策のためにコツコツ贈与→「延滞税」「過少申告加算税」を課される最悪の展開に。どういうこと!?【税理士が解説】
相続税対策の贈与のはずが、やり方に不備があると「名義預金」と判断され、最悪の場合、申告漏れとして延滞税、過少申告加算税などのペナルティが科されることもあります。どうすればいいのでしょうか。※本連載は、公認会計士であり、税理士、社会保険労務士の資格を持つ五十嵐明彦氏監修の書籍『いちからわかる! 相続・贈与 2024年最新版』(インプレス)より一部を抜粋・再編集したものです。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
他人名義の預金を「名義預金」と呼ぶ
相続税対策のために生前贈与を行う場合は、「贈与したもの」をきちんとわかるようにしておくことが大切です。 例えば贈与のために子や孫の預金口座を勝手に作り管理しておくケースはよくあります。これは「名義預金」といい、相続発生時に相続財産とみなされる可能性があります。場合によっては、申告漏れとして延滞税、過少申告加算税などのペナルティが科されます。
贈与契約書は贈与のたびに作成
こうした事態を避けるために、贈与の際には「贈与契約書」を作成して保管しておくのがおすすめです。 贈与契約は贈与者と受贈者の双方で「あげます」「もらいます」という意思の確認がある場合に成立します。口約束でも成り立ちますが、相続のようにあとで問題になった場合に証明できない可能性があります。契約書があれば「贈与したものである」という客観的な証拠になるわけです。 面倒でも下の契約書作成例を参考に、贈与するたびに契約書を作成しましょう。 ポイントはいくつかありますが、日付や金額、氏名などはできる限り具体的に書いておきましょう。また、贈与のバリエーションはいくつかありますが、どんな条件で贈与したかも書いておくと、相続発生時の対応も楽になります。 なお、毎年110万円を10年間贈与するからと言って、1100万円の契約書を作成するのはNGです。一括で贈与したのと同じことになり、贈与税が課せられる場合があります。つまり、1100万円を複数年に分けて贈与するという、1つの契約書と判断されてしまうわけです。 また、名義預金とみなされないためには、お互いが通帳の存在を認知していることに加えて、受贈者自身が印鑑や通帳を管理していることも大きなポイントとなります。さらに、入金のみの口座だと税務調査では怪しまれやすくなります。受贈者が定期的に口座からお金を引き出して、実際に使ったり、別口座に移し替えておくことも有効です。