“大麻グミ”食べ相次ぐ体調不良と不安の声 関係者が語る危険な実態【バンキシャ!】
日テレNEWS NNN
大麻成分に似た合成化合物を含んだグミ、通称 “大麻グミ”を食べて体調不良を訴える人が相次ぎ、厚生労働省は規制に乗り出す方針だ。都内の飲食店でグミを食べた男性が一時、意識不明となった現場に居合わせた関係者が実態を語った。【バンキシャ!】 18日、バンキシャが取材したのは、グミを販売する店のスタッフ。 グミの販売店スタッフ 「HHCHという成分が入っているグミは取り扱っています」 この店は、大麻成分に似た合成化合物「HHCH」と記載された製品を取り扱っていた。実はこのスタッフは先月、新橋の飲食店でグミを食べた男性1人が、一時意識不明となった事案に関係していた。 グミの販売店スタッフ 「常連の方で、よく(店に)来ていただく方が、自分の友だちの方がパーティーをやるってことだったので」 常連の男性は、イベント参加者へのプレゼントとして、グミを購入したという。 グミの販売店スタッフ 「これだけは絶対に守ってねって話して。初めて食べる方は半分から始めてください。どんなに食べても絶対に1粒以上は食べないでくださいって」 捜査関係者によると、グミを購入した常連の男性(34)は、イベントに行かなかったため、参加する女性に預け、「グミを少しずつ食べさせて」と話したという。 バンキシャは、複数の関係者を取材し、イベントの一部始終を知ることができた。イベントに参加したのは、およそ10人。20代から30代の男女だったという。グミを預かった女性が、31歳の男性に渡すと… 男性(31) 「これ合法大麻が入っているらしいよ」 と言って、1個どころか、グミ4個を食べたという。しばらくすると男性が突然、店の端で座り込んだため、店の一角で寝かせられることに。その後、一時意識不明となり、病院に搬送された。 会場にいた28歳男性も1個を食べ、異変が現れた。バンキシャの取材に対し、「ひどい立ちくらみ」や「何も考えていないのに勝手に体が動くような、なんとも言えない感じになった」と話した。この男性はイベントの途中で帰宅。自宅から119番通報し、搬送された。 *** 食べた人たちが相次いで体調不良を訴えた“HHCHの表記があるグミ”。どれほど広がっているのか――。バンキシャが取材した。 18日、バンキシャは東京・小金井市にある公園へ。今月4日に開催された祭りで、グミを食べた5人が病院へ搬送された。そのグミは40代の男性が配ったものだった。 会場では、こんなアナウンスが流れた。 祭り会場にいた人 「『グミを配っている人がいて、それを食べた人が倒れている』という(アナウンス)。なんだそのグミは、と思った」 中には横たわる子どもを見たという人も… 祭り会場にいた人 「中学生になってるか、なってないかくらいの子が、寒くないように毛布とかで包まれていたんですけど、顔色悪くて寝てるって感じでしたね」 人を介してこうしたグミが出回っていることについて、街の人は―― 娘・大学生(19) 「大麻ってわかっていれば絶対に手を出さないと思うんですけど、知らずに友だちから『このグミ食べてみてよ』って言われたらたぶん食べちゃうと思う」 大学生(23) 「グミだったらあんまり疑わないと思うのでちょっと怖いです。ポップな感じで色とかもキレイだと思うし」 会社員(28) 「グミとかの手軽さがゆえに、周りに広めやすい側面もあるのかなと思う。手軽さは、はやっている一因になっているとは思う」 *** (捜査関係者によると)都内では先月から「HHCH」と記載されたグミを食べた人が、病院に搬送されるケースが相次いでいる。 薬物の危険性や依存に詳しい、湘南医療大学薬学部、舩田正彦教授は、「HHCH」についてこう話した。 舩田教授 「大麻と類似の効果を示す可能性があると考えていいと思います。例えば意識障害であるとか、幻覚に近い精神作用。こういったものが出てくる可能性があります」 17日、厚生労働省(武見厚労相)は、このHHCHについて、規制を検討するとしている。 問題のグミを製造・販売している会社(大阪市)は… グミを販売した会社 社長 「我々が販売しているものは違法な成分ではないので、違法性はございません。脱法ではないと思っています」 「違法ではない」と繰り返したが、17日、このグミ販売会社が運営する2店舗などに厚生労働省の麻薬取締部が立ち入り検査に入った。 現在、法律で規制されていない大麻成分に似た合成化合物「HHCH」は、世の中にどれほど出回っているのか―― バンキシャ 「いろいろ出てきました。すべてこれHHCHの製品ですね」 様々なサイトに「HHCH」の文字が見られた。SNS上でも調べてみると、グミを販売している業者もあった。いくつかの店に接触したが、取材はできなかった。 そこで都内にある、HHCHを取り扱う店の1つに直接取材を申し込むと・・・ バンキシャ 「交渉してきましたが取材はNGと断られてしまいました」 さらにバンキシャは、問題のグミを製造・販売した会社がある大阪市へ出向いた。 バンキシャ 「ここの店、HHCHと書かれています」 HHCHを取り扱う店を複数、見つけることはできたが、カメラ取材はすべてNGだった。一方、関東と大阪府などでバンキシャの聞き取りに応じた37店舗のうち18店舗が、HHCHを取り扱っていると答えた。 17日、薬物の危険性や依存に詳しい、湘南医療大学薬学部の舩田正彦教授は、この現状について語った。 舩田教授 「かつてありました危険ドラッグ問題、まさに今回の事例もその問題と同じであるということです。(HHCHを)摂取するということは危険性を伴うということが大前提になると思います。HHCというものがすでに規制されているわけですけれど、そういったもののデータを参考に、包括的な規制がかけられていくのではないかと期待しています」 *11月19日放送『真相報道バンキシャ!』より