元アナ・久保田智子が「教育長」に転身した深い訳 トップ交代の「変化」は現場を変える手段になる
教育委員会は学校現場を「管理」ではなく「支援」するところ
――学校現場では働き方改革も大きな課題となっています。 これも現場を見ることが必要です。姫路市では18:00以降、学校にかかってくる電話を自動応答に変えたのですが、これまで電話に出るのは当たり前と思っていたから、みんなが大変だと思っていても変えられませんでした。こうした当たり前でやっていることを、本当に当たり前なのかという視点で整理していきます。 先生たちがどんな負担感を抱いているのか。そこからどう働き方を変えたらいいのか。ぜひ先生たちから提言をいただきたいと思っています。とくに、まだ年月の浅い若手の先生なら、学校の当たり前を知りませんから、必要なもの、不必要なものについて見えてくるものがあるかもしれません。 また、ペーパーレス化を始め、効率化できるものはDX化していきたいとも考えています。そこは教育委員会だけでなく、市のデジタル戦略とも関わってくるでしょう。このように皆さんと連携していくことで課題解決につなげていきたいと考えています。 ――久保田さんご自身が子育てで心掛けていることは何でしょうか。 まずは親子の間の話をきちんと聞くことを心掛けています。今、夫は東京に勤務しており、私と5歳の娘の2人で、姫路での生活を送っています。娘は朝役所に行く前に保育園に預け、昼休みには役所を出て、スーパーで夕食の買い物をして、一度帰宅してランチを取ります。 基本的に定時退所を宣言しているので、18時くらいまでには娘を迎えにいくようにしています。帰宅後は早めに夕飯をつくって一緒に食べて、娘を早寝早起きさせることがルーティンとなっています。夫や東京の友達から離れ、娘も寂しさを抱えており、ときにはぐずり出すこともありますが、子どもの話を聞くことが何より大事だと思っています。 ――最後に教育長として抱負をお聞かせください。 姫路市が抱える課題は知れば知るほど複雑で、現場の話を聞けば聞くほどより複雑になっていきます。だからこそ、いろんな意見を聞いたうえで、教育長が全体のビジョンを示すことが大事だと考えています。 そのビジョンのもと、それぞれの学校現場から変化を生みだしていけるように、支援をしていきたいです。そして、姫路市の保護者の皆さんが安心して子どもを学校に送り出し、子どもが笑顔で学べる環境づくりを目指していきたいと思っています。 (文:國貞文隆、写真:すべて姫路市教育委員会提供)
東洋経済education × ICT編集部