「行方不明のペット」被災地で探すボランティア 1カ月ぶりに発見された飼い猫も…『もう一回家族のもとに帰したい』 レスキュー活動続ける56歳女性
■「助けられる命がある以上、行かなければ」
東日本大震災以降、国は災害時にペットを連れた避難を推奨しています。 金沢市にある体育館を利用した避難所でも、10匹ほどのペットのスペースが設けられていました。もちろん飼い主の出入りも自由です。 しかし、ケージの中での飼育を前提としているため、受け入れが難しい場合も…。 浜田さんの飼い犬・ジェットは中型犬のため、車内で過ごしています。
【浜田栄八さん】「小型犬なら入るけど、この子はちょっと大きいから無理。強制的に入れても、夜吠えたりしたら人の迷惑になる。それでここに我慢させているんだけど」 【浜田きくゑさん】「普段は、うちでは一緒に寝ていたんです。この子と一つの布団で。(Q.車内にいさせることについては?)つらいよ。つらいけど仕方ないから。(ジェットが)鳴いてきたから。泣いた泣いた、私。一緒にいたいから。でも何回かここ(避難所)の人に言ったら『そういう部屋がないからごめんなさい』って言われて」 長引く避難生活に、浜田さん夫婦はジェットを連れて、被災した家に戻ることに決めました。 自分たちの安全よりもペットとの生活を優先する、浜田さんのようなケースは少なくありません。
朝から休む間もなくペットの捜索を続けるうささん。気づけばあたりは真っ暗に。活動が終わるのは、深夜0時頃です。車で寝泊まりする生活を続けています。 この日、うささんは大規模な火災があった輪島市の朝市通りに入りました。家が焼けて残っていないこの地域に、犬や猫はいないはずですが…。 【チームうーにゃん 代表 うささん】「探している子はワンちゃん2匹と、猫ちゃん1匹なの。おそらく遺体や遺骨があるんだったら、そんなにバラバラになってないと思う」 捜索しているのは、ペットたちの“遺骨”です。 【チームうーにゃん 代表 うささん】「ここに室外機があって、この焼けた木よりも向こうの壁側に中庭とかがあって、あそこに多分猫ちゃんがいる可能性がある」 ペットたちがいたと思われる場所を重点的に探します。 依頼主は火の手が迫る中、小さい子供を連れて逃げるのに精いっぱいだったそうです。 「たとえ死んでしまっていても、大切な家族を見つけてほしい」 そんな飼い主の思いを受け取り、慎重に遺骨を探します。 【チームうーにゃん 代表 うささん】「自分の足の下にあるかもしれないと思ってやってね」 これまでうささんはおよそ20匹の犬や猫の命を救っています。この日は、そのうちの1匹の猫を飼い主のもとに引き渡す日です。 普段は神戸市で暮らしている神谷さん一家。飼い猫・しゅん(5歳・アメリカンカール)を連れて、家族みんなで輪島市の妻の実家に帰省していました。 【神谷健一さん】「初日の夜も氷点下やったから、だめだろうなと思って。こっち(輪島市)に1月4日までいて。暇を見てはうろうろ、名前を呼びながら歩き回ったんだけど」 実家は住めない状態に。神谷さんは、行方不明になっていたしゅんを4日間探しましたが見つからず、神戸に帰らざるを得ませんでした。 しかし2月5日、うささんが偶然しゅんを見つけ、保護したのです。 【チームうーにゃん 代表 うささん】「しゅんちゃんです」 もう会うことはできないと思っていたしゅんと1カ月ぶりの対面です。 【神谷健一さん】「しゅん!しゅん!分かっているのかな。半分以上諦めていたから。絶対に生きていられないだろうなって。えさを自分で取ることもできないし、この気温を経験したこともないから、多分もう無理やろうなと。うれしかったですよ。まさか生きていると思わなかったから。かけがえのない…。ペット飼ってはる人はみんな一緒やと思うけど」