老舗あられ店が国産はちみつを「量り売り」。必要な分だけ買えると人気に/大阪
老舗あられ店「お多福堂」(大阪市住之江区粉浜)が、国内産の極上はちみつを「量り売り」方式で販売し、徐々にリピーター客を増やしている。 同店は1937年(昭和12年)の創業で、住吉大社門前に広がる粉浜商店街の代表的店舗。炭火手焼きによる「大社あられ」で知られ、固定ファンが少なくない。「昆布茶あられ」は大阪名物のひとつに挙げられている。2代目店主の森谷稔さんが異分野のはちみつに注目したのは、3年前だった。 「健康志向が高まる中、長らくごひいきにしていただいているお客様の健康増進に、少しでもお役に立ちたい。新たな食材を探していたところ、栄養素がバランスよく含まれた国内産はちみちと出合いました。主力産地の東北を視察した際、はちみつを贈答品としてではなく、ご家庭で利用する人たちのために、量り売りで提供していることを知りました。大阪では珍しいはちみつを扱うなら、量り売り方式を採用しようと思い立ちました」
タンクから小分けする量り売り方式が人気に
2011年(平成23年)秋から、岩手産アカシアはちみつの販売を開始。その後、供給がやや不安定になったため、昨春から北海道産の山ハギはちみつに切り換えた。採蜜地が北海道限定で、他の産地ものとブレンドしていない生はちみつだ。口に含むと、ほのかな花のにおいが香り立つ。 店内中央に、はちみつの入った大きなタンクが鎮座している。顧客が必要とする分量だけ、タンクから小分けする量り売り方式は、合理性を重視する大阪人の支持を集めた。半面、課題も浮かび上がってきた。はちみつが白く固まる結晶化に対する顧客の反応だった。 「情報不足のため、はちみつが結晶化すると、劣化してしまったような印象を持たれるようですが、品質への影響はありません。結晶化する温度や形状などは、蜜源となる花の種類によって異なります。しかし、どんなはちみつも温めると溶けてきますので、容器の底にたまった最後の一滴までご利用いただけます。私も冬場、タンク内のはちみつが固まらないよう、試行錯誤を重ねて工夫してきました」(森谷さん) 森谷さん自身、あられのベテランではあるものの、「はちみつに関しては、まだまだぼんさん(修業の身)」と、謙虚さを忘れない。
健康はスプーン一杯のはちみつから
「健康はスプーン一杯のはちみつから。毎朝、はちみつをスプーンで直接なめたり、トーストパンに塗って召し上がってください。私はプレーンヨーグルトにまぜて味わっています。お客さんからも教わりながら、はちみつの食文化を大阪に定着させていきたい」(森谷さん) 現在、あられとはちみつを組み合わせて楽しめるコラボ商品を試作開発中だそうで、はちみつを使った新しい大阪名物の誕生なるか。はちみつの値段は100グラム500円、300グラム1500円。定休日は日曜。詳しい問い合わせは同店(06・6671・4237)へ。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)