10万円以下で実現する、JBLから登場した本格的なシアターサウンド「映像とのマッチングが最高!」
〈サウンドシステム〉 JBL BAR800(ジェイビーエル バー800)
テレビの貧弱な音を改善し、シアター的な鑑賞体験を目指すサウンドバーには、人工的な響きを加えたり、曖昧に広がり感を付与する製品が多い。ところがJBLの「BAR800」は本格的である。JBLらしいブライトで闊達な音調が聴けるのだ。“JBLな音”とは明るく、飛翔感があり前向き、剛性が高く、スピードが速い。映像とのマッチングがとても好適だ。 【写真】緻密で隙のないリッチな音場が聴ける、映画鑑賞御用達サウンドバー サラウンドは正確な定位感としっかりした音像感をもった音場だ。ダイアローグなど前方に定位すべき音源は正確にセンターから発音し、一方で包まれ感が豊か。その秘密が、独立したリアスピーカー。5.1.2チャンネル再生の本機は、一体型サウンドバーとワイヤレスのサブウーファーからなる本体の左右に取り付けられているリアスピーカー部を取り外し、後方に置く。信号は独自の2.4GHzの低遅延ワイヤレス伝送で送られる。バッテリー駆動だから、AC電源は不要。 ほとんどのサウンドバーは平均的な頭部伝達関数(音がどのように体の表面を経由し耳に届くかのパターンデータ)を使い、不正確なサラウンド成分を前方から放出。本来は個人で大きく関数が違うのだが、大量生産の製品だから個別化は不可能なので平均値で処理する。当然、サラウンド感は不自然になる。だが本機はリアスピーカーから音を発するところが違う。 リッチなイマーシブ音場を成り立たせるもうひとつの工夫がビームフォーミング。音をビーム状に放射、部屋の四方の壁に反射させ、聴取位置に側面から音を届ける。前方のサウンドバーとリアスピーカーの間を音のビームがつなぐ。緻密で隙のないリッチな音場が、明朗で高剛性なJBLサウンドで聴ける、映画鑑賞御用達サウンドバーだ。
麻倉怜士 デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。