今季急失速のカープ、得点力向上へ「1日1000スイング以上」の猛練習…その場で倒れ込む選手相次ぐ
宮崎県日南市で行われているプロ野球・広島の秋季キャンプで、若手らがバットを振り込んでいる。今季は夏場まで優勝争いをしながら、打力不足が響き、終盤の急失速で4位に終わった。巻き返しを図る来季に向け、得点力向上は欠かせず、伝統の猛練習に回帰している。(新田修)
「1日軽く1000スイング以上。プロになってから、こんなに振ったことはない」。主砲候補の末包の左手はマメがつぶれ、やけどしたようにただれていた。今季のチーム打率2割3分8厘、52本塁打はいずれもリーグ最下位。新井監督は「得点力不足は一番の課題」と断言する。 厳しい練習で選手を一流に育てるのが広島流。若手中心の秋季キャンプでは初日の4日から、その伝統が色濃く表れていた。野手陣はまず午前9時から約1時間、フリー打撃やティー打撃。今季は直接教えることが少なかった新井監督も、バットを手に自ら指導にあたる力の入りようだ。
昼食後、さらに約4時間、ほぼ休みなくスイング。締めくくりの野手全員によるロングティーとティー打撃を終えると、その場で倒れ込む選手が相次ぐほど。21歳の田村は「理想のスイングを体に覚えさせるためには、振らないといけない」と充実感を漂わせた。 鍛えるのは体だけではない。宿舎では藤井ヘッドコーチが座学を実施。「12種類あるカウントで、どうすれば打者有利に持っていけるのか」「(実戦で)あの球を見送っていれば、楽なカウントになった」。楽天で現役だった当時、野村克也監督から受けた教えを、選手たちに伝授している。
長打力が持ち味の高卒ルーキー・仲田も「『カウントによって(狙いを)変えてみろ』と教えられた。自分に合う球種の絞り方を探したい」と刺激を受けた。 キャンプは20日まで。練習で培った力を試せるように実戦も多く組まれ、新井監督は「ここに来ている選手は今から『自分の形』を作っていく段階。一日一日を大切に、鍛錬の秋にしたい」と若手の成長に期待を込めていた。