シャアの復讐がミネバに及ばなかったのはなぜ? 「ロリコンだから」ではない…はず!
みんな思ったよね「ロリコンだから大事にしたんじゃ…?」
おなじみ「赤い彗星」こと「シャア・アズナブル」は、『機動戦士ガンダム』作中で描かれた「一年戦争」まで、親の仇であるザビ家に対する復讐心から行動していました。 【たぶんシャア好みだよね】美しく聡明に成長されたミネバ様(16歳)のお姿を拝見する(4枚) しかし戦後にアクシズで保護された「ミネバ・ラオ・ザビ」、すなわち「ドズル・ザビ」の忘れ形見である幼いひとり娘に対しては、シャアは復讐するどころか遊び相手として甘い姿すら見せています。これはどういう風の吹き回しだったのでしょうか。 このような問いを掲げたとき、おそらく誰しもがまず脳裏によぎるのは、「シャアはロリコン(だからミネバを大事にした)」という言説ではないでしょうか。劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で「アムロ・レイ」と言い争うなか、因縁の象徴である「ララァ」を引き合いに「私の母になってくれるかもしれなかった女性だ」と言い放ったシーンは広く知られ、部下の「ギュネイ・ガス」からも「ロリコン」呼ばわりされていました。 ただ同作でシャアに父性を求めて慕った「クェス・パラヤ」には特別な感情を見せておらず、さらにそれまでの女性遍歴を振り返っても、相手は相応に大人の女性であったことから(といっても若い相手ばかりですが)、そもそも年下好みか否かは怪しいものであり、これを前提ないし根拠とする言説には疑問が残ります。ララァがシャアにとってファム・ファタール(運命の女性)であるのは、「ララァが年若い女性だから」ではありません。 次に思い浮かぶのは、「ザビ家の血(をひくミネバには利用価値があるから)」という理由でしょうか。実際に『機動戦士Zガンダム』や続編の『機動戦士ガンダムZZ』で、「ハマーン・カーン」はネオジオンの旗頭としてミネバを担ぎあげています。やはり「ザビ家」という家名は、元ジオン軍人はじめジオンサイドだった人々には善くも悪くも響くものでしょうから、利用する価値はありそうです。 しかし、シャアはミネバをハマーンの元から連れ去り所在を隠すという大胆な行動に出ながらも、『逆襲のシャア』では、最初のジオン共和国を建国した「ジオン・ズム・ダイクン」の息子「キャスバル・レム・ダイクン」であることを前面に押し出しつつ、自らネオジオン総帥というトップの立場に就任しています。「ザビ家の血」としてのミネバを利用するつもりなら、ここで使わない手はなさそうなタイミングにもかかわらず、です。このことから、逆にミネバの所在を隠したシャアの目的がその「血」にあるとは考えにくいでしょう。 一年戦争後、ジオン残党が隠れ潜んでいた小惑星基地「アクシズ」でシャアは、ミネバの教育係を務めていましたから、彼女に情が移ってしまった(から殺せない)のではないか、という説も聞かれます。これについては、可能性があるともないともいえません。 ただ、『Z』で久々に再開した折、ミネバはシャアを慕っている様子が見られましたし、またシャアはハマーンに対しミネバの教育方針について激怒してもいました。これらの材料から考えられることは、「シャアはミネバを普通にかわいがっていた」という結論ではないでしょうか。