世界で活躍する茶道家が教える、自宅でできる「プチ茶道」。「お茶」を通して心と体を整える
2020年に文化庁が1,500人に対して行った国民意識調査によると、茶道を経験したことがない人は全体の約6.5割だそうです。そんな茶道を、日本だけでなく世界にも広めようと活動しているのが、茶道家(裏千家教授)の竹田理絵さん。今回は、茶道にまつわる教養を紹介していただきました。竹田さんいわく、「茶道におけるお点前と禅の思想は共通しているため、昔から結び付きが深い」そうで――。 【書影】不安な時代をしなやかに美しく生き抜く知恵と教養が満載!竹田理絵『「お茶」を学ぶ人だけが知っている「凛とした人」になる和の教養手帖』 * * * * * * * ◆お点前(てまえ) お湯を沸かし、お茶を点ててお客様に振る舞うまでの一連の作法を「お点前」と言います。 茶道におけるお点前と禅の思想は共通しているため、昔から結び付きが深いと言われています。 *お点前の5つの手順 (1)茶室に、水指やお茶碗、棗、建水など、お茶を点てる道具を運びます。 (2)お客様の前で、それらの道具を帛紗で清めます。 (3)お茶を点て、お客様にお出しします。 (4)使用した道具を全て清め、もとの場所に片付けます。 (5)茶器や茶杓などの道具を、お客様に鑑賞していただきます。 お茶を点てるための道具はすべて綺麗な状態ですが、それをさらにお客様の前で丁寧に清めていくことで、「おもてなしの心」を伝えます。
◆お点前は、おもてなしの心を表したもの 海外の方に喜ばれる教養 日本では「書道」の授業はありますが、残念ながら「茶道」の授業はありません。しかし、海外では自国の歴史や美術、音楽など独自の文化を学ぶ機会が多いと聞きます。日本でも子どもたちがもっと身近に茶道を親しむ機会があれば、これから先も茶道文化を継承できるのではないかと思います。 自分をさらに高める教養 お点前と呼ばれるようになった理由には諸説ありますが、中国の点茶を由来とする説や、「点」という字には「小さな目印」「少量」という意味があるため、少量のお茶をお客様の「前」で「点てる」ことから「お点前」と呼ばれるようになったとする説などがあります。 「お客様の前で一つひとつ丁寧にお点前をすることで、まずは自分の心が整い、その空間やお客様も清められる」と言われています。 まさにその空間にいるすべての人が清められ、心が整っていくことがわかり、それが禅の精神とつながっていることが実感できます。