シロエビ観光船、今季断念 新湊漁協、水揚げ激減で「来季に期待」
●地震で漁場離れたか 「富山湾の宝石」と呼ばれるシロエビの漁を間近で見学できる観光船の運航が今季は見送られることが17日、分かった。能登半島地震の影響で水揚げ量が激減して延期が続いていた。水揚げ量は回復してきたものの、新湊漁協(射水市)は資源保護のため出漁回数を1日2回から1回とする制限を続けており、運航は困難と判断した。関係者からは「コロナの次は地震で厳しい状況だが、来季に期待するしかない」との声が上がる。 【写真】地震の影響で水揚げが減ったシロエビ=今年5月、新湊漁港 観光船は新湊漁協の若手漁師でつくる「富山湾しろえび倶楽部」が2020年から実施しており、シーズンを通じた休止は初めて。観光船は沖合で漁船に近づき、同乗した漁師から漁の方法を直接聞けたり、捕れたばかりのシロエビに触ったりでき、コロナ禍でも年間100人以上の利用があった。 今年は第1期(4月22日~5月24日)と第2期(7月8日~9月27日)に運航予定だったが、解禁後の4~8月の水揚げ量が前年同期比85・3%減の16・8トンとなり、休止が続いていた。新湊では8月末ごろから水揚げ量が回復傾向にあり、17日は漁1回の水揚げ量は1隻あたり例年並みの200~300キロとなった。 同日、漁師らが観光船再開の可否を協議し、出漁1回の制限を継続していることや水揚げのピークが終盤となっていることから再開を断念した。発起人で漁船「松宝丸」船主の松本隆司さんは「今の状況では乗客に満足してもらうのは難しい。来年は水揚げが戻り、運航できるよう期待するしかない」と語った。 県水産研究所が8月に公表した能登半島地震による富山湾への影響調査の中間報告では、シロエビの水揚げ量減少は地滑りで低酸素状態となった漁場から離れたためとみている。研究所の三箇真弘研究員は「水揚げ量は長期的にみる必要があり、一時的に回復しても楽観視はできない」とした。