「嘘解きレトリック」は今や《時代劇》 脚本家には書きやすい「昭和初期ドラマ」ブーム到来の可能性
鈴鹿央士(24=写真)&松本穂香(27)がダブル主演のフジテレビ月9「嘘解きレトリック」。原作は都戸利津氏による同名コミックで、昭和初期の日本を舞台に、貧乏な探偵・祝左右馬(鈴鹿)と、「ウソが聞き分けられる」能力を持った探偵助手・浦部鹿乃子(松本)が活躍する1話完結型のミステリードラマだ。 松本穂香の演技には心地よいテンポがあり「翻弄される役」や「戸惑いの表情」がハマる 「放送が始まる前は、原作ファンから《主演ふたりが原作のイメージとは違う》なんてブーイングも。特に松本さん演じる鹿乃子は、原作では16歳の少女なので……《松本さんでは年齢が》という意見もありました。が、ふたを開けてみれば何ら違和感がなかったのは、さすが実力派のなせる技。透明感とはかなさがいいですよね」(エンタメサイト編集者) 21日放送の第3話の平均世帯視聴率は6.0%(関東地区=ビデオリサーチ調べ)とあまり目立たないが、ここ数年の他の月9と比べたら突出して低い数字でもない。一方、人気の目安となるTVerのお気に入り登録数は60万超え(24日現在)。秋ドラマの中ではトップ10にランクインしている。 ドラマウオッチャーで芸能ライターの山下真夏氏は「今のところ、前の月9『海のはじまり』の方が視聴率は高めの傾向ではありますが、『嘘解き』はアンチが少ないようなので、まだまだ人気が上がっていく可能性も。実年齢は鈴鹿さんより松本さんの方が年上。にもかかわらず、松本さんが演じる鹿乃子を優しく包み込むような大人っぽい表情を鈴鹿さんが見せていて、これは新たなファンが増えそうですよね」と話す。 実際、視聴者からは《何となく癒やされる》《ほのぼのした気持ちになる》などなど、好意的な声が多い。中には《月9で時代劇って新鮮》なんて声も。ある脚本家は「私も同じようなコメントを目にして、昭和初期はもう時代劇なのか! と軽くショックを受けました」と苦笑しながら、こう続ける。 「15年ぐらい前に同業者と《大正時代はそろそろ時代劇の範疇に入れていいのでは》という話をした記憶があるのですが……もはや若い世代にとっては昭和初期もなのか、と。時代劇は、苦手意識があってハナから見ない人も多い。けれども、昭和初期なら《ちょっと懐かしい感じ》ぐらいで、新鮮に受け止められるんだと今回改めて分かりました。実は昭和初期は脚本を書くほうにとってはやりやすい点が多い。携帯電話はおろか、電話も一般家庭に普及していませんから、すれ違いが書きやすいんです。ハラスメントも現代劇ほど気にしなくていいですし」 見る方には新鮮、脚本家は書きやすいとなれば、大正時代や昭和初期を描くドラマが今後増えていく可能性もあるか。 「個人的にはNHK大河の『光る君へ』の放送で、大和和紀先生の漫画『あさきゆめみし』が話題になったこのタイミングで、大和先生の不朽の名作『はいからさんが通る』の連ドラ化はどうかと。『はいからさん』といえば、1987年公開の映画版で主人公の花村紅緒を演じた南野陽子さんが印象的ですが、あのドラマチックな物語は今でも十分、幅広い世代の心を掴みそうです。南野さん以上に紅緒が似合う俳優さんがいれば、の話ですけれど」(前出の山下真夏氏) 「嘘解き」をきっかけに、大正・昭和初期ブームがドラマ界に押し寄せるかもしれない。 ◇ ◇ ◇ 鈴鹿央士といえば、デビューのきっかけが広瀬すずに見いだされたからという説が有力とされている。●関連記事【もっと読む】鈴鹿央士、広瀬すずが惚れ込んだブレーク俳優トップが演じる「普通」の凄み…では、それについて伝えている。