89歳のICTエバンジェリスト「少しはバイ菌も体に入れなきゃ」。清潔にしすぎるから免疫力が落ちる【和田秀樹×若宮正子②】
81歳の時にiPhoneのゲームアプリを開発して“世界最高齢プログラマー”として各界が注目。Apple社のCEOティム・クック氏や台湾のデジタル大臣だったオードリー・タン氏からも一目置かれる存在になった。政府の会議でもズバリ物申す若宮正子さん。常識や世間の目に囚われないこの対談は「日本の壁」を切り崩す。『80歳の壁』著者・和田秀樹が“長生きの真意”に迫る連載。2回目。 【写真】オードリー・タン絶賛! 89歳・エクセルアートの創始者の若さの秘訣「失敗は大輪の朝顔を咲かせるための肥料」【和田秀樹×若宮正子③】
過保護が人間を弱くする
和田 若宮さんは、健康に悪いことばかりしていると仰いますが、とてもお元気です。 若宮 おかげさまで今、すごく多忙なんです。だから生活が不規則で。寝る時間も起きる時間も毎日違います。食事も新幹線の中でコンビニのおにぎりを食べたり。ちゃんとしてないの。 和田 忙しいのが元気の秘訣? 若宮 そうかもしれませんね。私たちは戦争を潜り抜けてきたでしょ? 飢えずに生き延びた。だから、たいがいのことじゃ人間死なないって思っています。 和田 現代人は「体に悪いから食べない」などと言います。でも長生きしている80代90代の方は、人工甘味料や着色料などを使った体に悪い食品を食べてきました。農薬みたいな白い粉も振りかけられていましたよね(笑)。 若宮 DDTね。体に着いたシラミとかを退治する殺虫剤。あれは体に悪いわよね(笑)。 和田 それでも今元気で、長生きしている。世の中って、やっぱり理屈通りにいかないんですよ。 若宮 戦後の食糧難の時には、アメリカからララ物質(救援物資)が入ってきました。脱脂粉乳です。輸入時に腐ってしまうものもあるんだけど、それを承知で飲むの。だけどお腹はこわさなかったですね。 和田 当時の貴重なタンパク源です。おかげで日本人の寿命は飛躍的に延びたんです。 若宮 今の若い人は賞味期限が切れていると捨てちゃうけれど、私は自分の鼻と舌を頼りに、変な臭いや味がしたらやめる。 和田 「清潔は病気だ」という考え方があります。清潔にしすぎるから免疫力が落ちる、と。 若宮 それ、わかります。 和田 この前もテレビで劇症型溶連菌感染が流行していると言っていて、どこかの専門家が「コロナの時と違って油断しているからだ」と、頓珍漢なコメントをしていました。でも、コロナの前は、もっと油断していたんですよ。それなのに流行していない。マスクもしないし消毒もしなかったわけだから。だから原因は明らかだと思います。除菌・防菌のし過ぎで免疫力が弱まったんです。 若宮 過保護すぎると人間は弱くなりますからね。 和田 おまけにコロナでは、外に出るなと言ったせいで、高齢者の体力が一気に落ちた。認知症になる人も増えたんです。 若宮 やはり、いろんな空気を吸って、少しはバイ菌も体に入れなきゃね(笑)。 和田 さすが若宮さん。考え方が強いです(笑)。