無政府資本主義者のアルゼンチン大統領、中国を前に現実主義に転換
火消し
ミレイ大統領は1月にダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)で、社会主義や中国のような国家偏重を批判し、西側諸国にもたらす危険を指摘。「われわれは西側諸国に対し、繁栄への道に戻るよう呼びかける。国家の侵犯に屈してはならない」と述べた。
とはいえ、アルゼンチンにおける中国の巨大なプレゼンスを縮小させることに伴う経済的リスクは、ミレイ政権があまり波風を立てられないことを意味する。最近、台湾を巡って起きた一連の騒動がそれを明確にした。
1月8日の午後、モンディノ外相が台湾当局者と会談したとの臆測を地元紙が報じたのが発端だった。
それから数時間のうちに、アルゼンチンは会談の事実を否定。2日後、中国の報道官は、アルゼンチンが「一つの中国」政策へのコミットメントを「再確認」したと述べた。1月12日にはモンディノ外相が駐アルゼンチン中国大使と撮った写真をX(旧ツイッター)に投稿。キャプションに握手の絵文字を添えた。
チリを拠点とするシンクタンク、ヌクレオ・ミレニオのアルゼンチン担当ディレクター、フランシスコ・ウルディネス氏は、「中国は常に、現状を維持するか、膨大な経済的コストを支払うかを選ぶよう、何らかの形で知らせてくる。ミレイ政権はそれをすぐに理解した」と指摘した。
通貨スワップ
資本規制からの脱却と経済の安定化、ドル化政策を掲げるミレイ氏にとって、中国の支援、そしてスワップラインは極めて重要だ。
ミレイ氏は、通貨スワップ協定を変更するつもりはないと説明。「民間の当事者同士による商業協定だと思うからだ。われわれの中央銀行がその一つを担い」、中国側も「中央銀行がカウンターパートになっている。そのため、問題ではない」と語った。
とは言え、これは完璧な解決策ではない。
ブルームバーグ・エコノミクスのアナリスト、アドリアーナ・ドゥピタ氏は、「中国との通貨スワップがあっても、ペソ急落とハイパーインフレはリスクだ」と指摘。通貨スワップが「なければ、それらはほぼ確実になる」と述べた。