「床トントン」の謎儀式、表彰式で渡す「細長い箱」…。パリ五輪のちょっとした疑問、赤いアイツの人気も調べてみました
パリ五輪のテレビ中継を見ていると、「なんだあれ?」と気になることがいくつかあった。 【写真】無課金おじさん、過去に装備を試したこともあったが… 「心地よさの勝利」 耳栓は薬局で購入
例えば、競技開始前に腰ほどの高さの棒で床をトントントンと3回たたく、謎の「儀式」。どの会場でもやってるようだ。トントンしている人は満足げだが、特段の説明はない。 表彰式では、メダルと一緒に渡されている細長い箱もちょっとよくわからない。まさかトントンの棒が入っているのか…。そして、メダリストはその箱を脇に置いたり、脇に挟んだりしながら仲良くスマートフォンで自撮り。スマホ持ち込んでいいの?過去の五輪では見なかったような気がするけど…。公式マスコットの人気も含めて、現地で調べてみた。(共同通信=小田智博、黒田隆太、河村紀子) ▽あの日本人金メダリストがトントン まずは棒の儀式について調べていると、こんな情報が。「日本人がトントンするらしい」。この日本人というのが、2016年のリオデジャネイロ五輪で金メダルを手にした高橋礼華さん。バドミントンの「タカマツ」ペアの一人だ。 高橋さんが登場したのは4日のバドミントン会場。高橋さんは木の棒を握り、ゆっくりと3回床を突いた。ちょっと緊張しているようだが、笑顔も見える。儀式が終わると会場は歓声に包まれた。
儀式の後、高橋さんが電話取材に応じてくれた。儀式参加のきっかけは、会場に高橋さんが来ていると知った大会関係者からの連絡。数日前に依頼があったのだという。 「私なんかでいいのかなと思ったけれど、本当にありがたい。実際にやるときはかなり緊張した。とにかく間違えないように、日本の恥にならないようにと考えた。あっという間だった」 高橋さんはほっとした様子でそう話した。儀式についてどう思うかと聞くと「この合図で始まって、選手が入ってくる。お客さんを盛り上げる、いい演出だと思う」と答えた。 なぜこの儀式をやるのか。その答えは、五輪公式ホームページに書かれていた。棒は「ブリガディア」と呼ばれ、各競技の開始時に行われる。トントンする役は、スポーツ選手やボランティア、著名人などが担っている。 もともとはフランスの劇場で公演の始まりを告げる合図で、中世に起源があるとも言われる。3回たたく理由は諸説あり、一つは、演劇における「俳優」「観客」「物語」を意味するというもの。パリ大会では伝統に倣い、アスリートのパフォーマンスに敬意を促す意味を込めたという。 ▽表彰式でもてあまし気味の長い箱