10.10空襲で沈められ迅鯨の犠牲者を追悼 最後の慰霊祭
那覇をはじめ南西諸島全域が攻撃された10.10空襲から80年となりました。本部町では、犠牲者を追悼し、一人静かに手を合わせる男性の姿がありました。 瀬底島を臨む丘にある大きな船のいかりと鎮魂碑に手をあわせているのは、中村英雄さん(94歳)です。 中村英雄さん(94): 「8年前に家内が亡くなった、家内といつも二人で掃除をして、毎日掃除していた」 旧日本軍の潜水母艦「迅鯨」は、1944年の10月10日にアメリカ軍の空襲により沈められ、135人が犠牲となりました。 当時14歳だった中村さんは、攻撃を受け沈んでいく迅鯨を前に、空襲の合間を縫ってサバニで何度も往復しながら、海に放り出された乗組員を命がけで救助しました。 中村英雄さん(94): 「(米軍の飛行機から)顔も見える、低空して爆弾を落とした。あの時の気持ちはもう予科連(海軍飛行予科練修生)に行く気持ちだから、何も怖いのは無かったんじゃないかな」 あれから80年、遺族もほとんど訪れなくなった今、94歳となった中村さんは、今回の慰霊祭を最後にすることを決めました。 中村英雄さん(94): 「いつまでも(慰霊祭を)やりたいんだが、自分が歳が歳だから、もう80年のけじめで終わろうと」 80年経った今でも、あの日の光景が忘れられないと語る中村さんは、迅鯨の悲劇を忘れないでほしいと平和への思いを強くしていました。
沖縄テレビ