部員6人ギリギリで、関東大学女子駅伝に挑む松蔭大学 恵まれた環境とは言えなくても、前向きな選手たち
「みんながなるべく一緒にトレーニングできるように」
取材に伺った日は神奈川県厚木市内にある荻野運動公園陸上競技場での練習でした。1レーンが使用できないため、2レーンを走行します。ちなみにトラック1周は400mですが、2レーンを走ると約407mになります。普段から2レーンを走っていれば、本番では距離が短くなって快適ですね(笑)。 この日は400m10本のインターバルトレーニングでした。400mを設定ペースで疾走し、100mのジョグでつなぐ、レースを意識したメニューでした。 インターバルでは「みんながなるべく一緒にトレーニングができるように」という中野監督の配慮もあって、堀選手が10本をこなすところ、他の選手が1本休むなど、うまく調整しながら「みんなで頑張ろう」という雰囲気が伝わってきました。 この日は卒業生の遠藤咲果さんも練習に参加されていました。大学卒業後も仕事をしながら走り続け、この夏は北海道マラソンに出場されるということで、定期的に母校の練習に参加されているそうです。 授業後で夕方とはいえ、蒸し暑い中での練習となりましたが、選手の皆さん一人ひとりの走りからは「いまできることをコツコツと」という一生懸命さが伝わってきました。また、インターバルに合流できない選手たちもペース走を行い、夏合宿を見据えた土台作りを行っていました。
「思いやりがあるチーム」「一人ひとりとの距離が近い」
練習後、選手の皆さんにもお話を伺いました。 主将・森川彩夢選手(4年、宇都宮文星女子) 「昨年もキャプテンを務めて今年で2年目になります。昨年は走りで引っ張れたところもありましたが、今年は故障もあってうまく付き合いながら走っています。思うような練習がなかなかできずにいましたが、3年の堀がチームの先頭に立って引っ張ってくれています。夏合宿に向けて自分の目標を達成しながら、走りでチームを引っ張っていけたらと思っています。個人としては日本インカレの1500m標準記録突破が目標です。また、駅伝に向けては5000mも走れるようにしていきたいです。松蔭大学は一人ひとり、思いやりがあるチームで、気遣いのできる選手ばかりです。人数は少ないですが、みんながいるから頑張れますし、誰かの調子が悪い時はみんなで背中を押してあげられる雰囲気です。松蔭大学を選んで良かったなと思えるチームです」 堀純花選手(3年、湘南台) 「関東インカレに向けて練習も積めていて、良い状態だったので目標を高く持っていました。日本インカレ標準を目指していましたが突破することができず、大舞台で力を出す難しさを知りましたし、周りの選手との差を痛感しました。来年こそは日本インカレを目指したいですね。年明けから故障せずにここまでこられているので、結果につながっていると思います。今年は5000m16分20秒切りを目標にしています。また、富士山女子駅伝の選抜メンバーに選ばれて出走することも目標にしています。松蔭大学は部員数が少ないですが、その分一人ひとりとの距離が近いのが魅力です」 また中野監督を支え、選手の皆さんにとっては頼れるお姉さん的な存在でもある吉田美咲コーチもいらっしゃいます。松蔭大学OGで女子駅伝部の2期生です。卒業後に就職した後、母校に戻ってコーチ就任6年目になります。 吉田コーチは先日、日本陸連の公認ジュニアコーチの資格も取得しました。「自分が今までやってきたことを振り返りながら、経験してきたことだけではなく、具体的な根拠なども探しながら伝えるように実践していこうと思っています。今いる選手たちに理想を押し付けるのではなく、それぞれの特性を生かし、結果を残してあげたいですね。伸び伸びした環境でやらせてあげたいです」と吉田コーチは丁寧にお話しされました。 部員6人ギリギリで挑む関東大学女子駅伝。一緒に高め合ってきた仲間の思いや卒業生の思いも込めて、松蔭大学女子駅伝部の皆さんは心の襷をつなぎます。現状打破!
M高史