『光る君へ』衰弱した道長を目の当たりにしたまひろに視聴者最注目 第42話画面注視データを分析
死神に憑りつかれたように青白い道長
テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、3日に放送されたNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合 毎週日曜20:00~ほか)の第42話「川辺の誓い」の視聴者分析をまとめた。 【写真】娘をあやす大納言・藤原実資(ロバート秋山)
■最悪の事態も考えていたまひろ 最も注目されたのは20時34分で、注目度82.6%。まひろ(吉高由里子)が衰弱した左大臣・藤原道長(柄本佑)を目の当たりにするシーンだ。 里に下がっていたまひろのもとへ百舌彦(本多力)が訪ねて来た。「実は、殿様のお加減がおよろしくなく…」百舌彦の言葉にまひろは心を乱した。まひろは百舌彦に伴われ、道長のいる宇治の別荘へ向かった。さすがは時の権力者たる道長の別邸である。豪壮な造りだ。邸内の廊下を進むと道長の姿があった。縁側の柱に身体を預けて眠っていた。その表情はまるで死神に憑りつかれたように青白い。 百舌彦がまひろに深く頭を下げその場を去った。まひろの目からひとすじの涙がこぼれた。道長のそばで腰をおろすと、涙をぬぐった。なんと話しかければよいのか分からなかったが、自然と「道長様」と呼びかけていた。その声が届いたのか、少しの間をおいて道長は目を覚ます。道長は目の前にいるのがまひろだと分かると、とても驚いた表情を見せた。最悪の事態も考えていたまひろは、慌てる道長を見てほっとした。 しばらくの間、2人は無言のうちに過ごした。2人に言葉は必要ないのか、かける言葉が見つからないのか、よく分からない。「宇治は、よい所でございますね」ようやくまひろが切り出すと、「川風が心地よい」と道長は答えた。「川辺を2人で歩きとうございます」まひろが言った。
■吉高由里子の流した涙に惹きつけられる 注目された理由は、主演女優・吉高由里子の流した涙に、視聴者が惹きつけられたと考えられる。 まひろは『源氏物語』を書き上げ、仕えていた皇太后・藤原彰子(見上愛)が目覚ましい成長をとげたことで、生きがいをなくしてしまい出家すら考えるようになっていた。 一方、まひろとの約束を胸にまい進してきた道長だが、激化する三条天皇(木村達成)との対立や、三男・藤原顕信(百瀬朔)の出家とその母・源明子(瀧内公美)とのいさかいが原因で大きく体調を崩し、ついには倒れてしまう。自身に課せられた使命をまっとうし、燃え尽き症候群となったまひろが、死の影が見え隠れする道長を目の当たりにして、複雑で強い感情にかき乱される姿を、主演の吉高は見事に演じた。 X(Twitter)では、「吉高由里子さんは無邪気な一面と深い愛情や心情を目で表現できる人」「まひろの内面描写が丁寧で脱帽」「涙とともに呼吸を整える吉高さんの切なさが伝わってきた」「吉高由里子さんと柄本佑さんの演技が本当に自然で引き込まれる」などと、吉高を絶賛する投稿が集まっている。セリフの少ないシーンだったが、とても心に残る場面となった。物語も佳境に突入し、いよいよまひろと道長の最期が描かれる日も近づいてきた。2人は一体どのような結末を迎えるのだろうか。 また、今回あまりにも道長が衰弱していた(死にかけていた)ためか、Google検索では「藤原道長」と検索すると、サジェストに「最期」や「死因」といったワードが上位に表示されている(放送翌日の11月4日時点)。多くの視聴者が道長について調べた結果だと思われる。 本シーンの舞台となった別荘は、今も現存する国宝・平等院の前身。元は嵯峨源氏の左大臣・源融が営んだものであり、第57代・陽成天皇、第59代・宇多天皇、第61代・朱雀天皇、宇多天皇の孫・源重信と所有者が移った。998年に道長が所有することになり、その際に「宇治殿」と呼ばれるようになった。道長の死後、1052年に時の関白だった長男・藤原頼通により寺院に改められ、平等院となる。