無敗で2冠を制した優駿たち 静寂に刻まれた15年ぶりの偉業 20年のコントレイル
グレード制が導入された1984年以降、無敗で2冠を制したのは5頭。その輝かしい歴史を全5回の連載で振り返る。5回目は20年のコントレイル。 20年はオークスでデアリングタクトが勝ち、無敗の牝馬クラシック2冠を達成。翌週のダービーでは日本競馬史上初となる同年に無敗の牡牝クラシック2冠馬誕生となるかが注目された。コントレイル陣営には相当な重圧がのしかかっていたに違いない。それでもそれをはねのけて歴史に新たな1ページを加えた。 デビュー前は脚元の不安もあったが、そんなことを全く感じさせないパフォーマンスを見せ続けてきた。単勝1・7倍と断然人気だった新馬戦を圧勝すると、続く東スポ杯2歳Sは異次元の末脚でレコードV。暮れのホープフルSも制して3連勝でG1初制覇を飾った。翌年も快進撃は止まらない。無敗のG1馬2頭が顔を合わせた皐月賞は後方からの競馬となったが、最後は外を回ってサリオスとのたたき合いを制して1冠目を奪取した。 迎えた第87回日本ダービーは新型コロナのため無観客で行われ、直線は蹄音だけが場内に響き渡った。その中を力の違いを見せつけて直線で抜け出すと、2着サリオスに3馬身差をつける圧勝で父ディープインパクト以来、15年ぶりの無敗のクラシック2冠制覇を成し遂げた。 福永は「抜け出すと集中し切れていなかった」と話していたが、それでいて勝ってしまうのだから能力は底知れなかった。秋には神戸新聞杯を経て菊花賞をV。無敗の3冠馬となった。