17年前の加古川女児刺殺「自白」が突破口 再逮捕の容疑者の供述、客観状況と矛盾せず
誰が、なぜ、幼い女の子の命を奪ったのか。何も分からないまま17年もの月日が流れた事件が大きく動き出した。兵庫県警が27日、殺人容疑で勝田州彦容疑者(45)を逮捕した同県加古川市の女児刺殺事件。人通りの少ない場所での一瞬の犯行に、捜査は早い段階で暗礁に乗り上げた。別の女児襲撃事件などを機に勝田容疑者が捜査線上に浮かんでからも、決め手がないまま時間が過ぎたが、任意聴取での容疑者の供述が捜査を急展開させた。 【写真】「公文教室の前で女児を物色した」岡山・兵庫連続女児刺殺犯「勝田州彦」が犯行当日の手口を詳細に告白 ■「非常に難しい捜査」 「客観証拠が非常に乏しく、被疑者の特定、犯行の立証が非常に難しい捜査を強いられた」 この日、捜査本部のある加古川署で記者会見した県警捜査1課の柱谷昌彦課長は、捜査が長期化した理由をこう語った。 事件が起きたのは、平成19年10月16日午後6時すぎのことだった。自宅近くの公園で友達と遊んでいた小学2年の女児=当時(7)=が、自転車で1人で帰宅。自宅裏に自転車を止め、玄関に回って家に入るところを襲われたとみられる。 悲鳴を聞いた家族が119番。女児は病院に搬送される途中、「大人の男にたたかれた」という趣旨の言葉を残したとされる。だが、ごく短時間の犯行で有力な目撃情報はなく、防犯カメラが普及していない当時、犯人特定に結びつく映像も見つからなかった。 部外者が立ち寄らないような場所での発生といった状況などから、県警内には顔見知りによる犯行との見方も出たが、捜査は難航。県警は延べ約5万4千人の捜査員を投入し、チラシ配りなどで情報を募ったが、手がかりは得られなかった。 ■「10年間ほど浮上したまま」 膠着(こうちゃく)状態の中、県警が解決への糸口とみたのが、同種事件の前歴者ら不審者情報の洗い出しだった。特に捜査員らの目を引いたのは、27年5月に同県姫路市で起きた中3女子生徒刺傷事件。現場周辺の防犯カメラの映像などから逮捕されたのが、勝田容疑者だった。 県警はこれ以前にも、不審者の一人として勝田容疑者の存在を把握していたが、「姫路の事件で加古川事件も間違いないのではないかという心証を抱いた」と元捜査幹部は振り返る。