ブレイナード氏が財政「トロイカ」論破、予算教書やや明るい内容に
(ブルームバーグ): バイデン米大統領が11日に発表する2025年度予算教書は、若干明るい見通しに調整された。大統領の片腕として経済運営を補佐するブレイナード国家経済会議(NEC)委員長の説得が奏功したと、事情を知る複数の関係者が明らかにした。
議論で争点となったのは、10年債利回りの予測だったという。この予測は債務利払いコストといった多様な面で重要な参考指標となる。
大統領予算教書に盛り込まれる経済予測は通常、財政の「トロイカ」として知られるイエレン米財務長官とヤング行政管理予算局(OMB)局長、バーンスタイン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長の3人が決定する。
しかし昨年10月の会合には、4人目の主要メンバーとしてブレイナード氏が加わっていた。ブレイナード氏はトロイカの3人と10年債利回り予測をめぐって意見が一致せず、3氏よりも若干低い水準を予想したという。関係者らは匿名を条件に話した。
予測の相違はわずかで、いずれも民間の予想レンジから外れていないという。関係者の1人によれば、ブレイナード氏の働きかけによって10年債利回り予測は3年間にわたり10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)押し下げられた。ブレイナード氏はコメントを控えた。
ブレイナード氏の予測はバイデン政権が描き出す経済的未来を若干明るくする。金利見通しの低下はより強く成長を促すとともに、弱いインフレ懸念を示唆するため、全体的な見通しを良くする効果がある。財政赤字と債務への懸念が強まる中、予測される借り入れ負担が減ることにもつながる。
関係者のうち2人は緊張した議論だったと述べたが、別の関係者はエコノミストによる普通の議論だったとしている。予算作成のプロセスにNEC委員長やそのスタッフが参加すること自体は異例ではないが、具体的な予測値の設定に深く関わることはあまりない。そうした数字はトロイカが決定すると関係者らは述べた。