ECB総裁、高インフレとの闘いまだ終わっていない-警戒続ける必要
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、インフレとの闘いはまだ終わっていないとし、政策当局者は今週の会合で借り入れコストを引き下げたものの、警戒を続ける必要があるとの考えを示した。
ラガルド氏は「多くの面で前進が見られる」とオーストリア紙スタンダードなど欧州各紙に掲載された論説記事で指摘。「しかし、インフレが経済から締め出されるまでには、まだ長い道のりがある」と述べた。
持続的な物価安定を確保するために必要な限り、金利を景気抑制的な水準に維持する必要があると同氏は強調。「言い換えれば、当面はブレーキにまだ足をかけておく必要がある。以前ほど強く踏んでいないにせよだ」と続けた。
ECBは6日、数カ月前から予告していた通り利下げを実施。約9カ月間にわたり過去最高の4%に維持していた政策金利を0.25ポイント引き下げた。ただ、追加利下げについては示唆せず、政策の方向性について投資家に疑問を抱かせる格好となった。
ECBはインフレ見通しが「著しく」改善したとの認識を示す一方、2025年の物価見通しを2%から2.2%に引き上げ、今回の行動の妥当性について疑問を投げかけた。オーストリア中銀のホルツマン総裁は、「データ主導の決定はデータ次第であるべきだ」として利下げ決定に反対した。
ラガルド氏は論説記事で、消費者物価の上昇率は2025年後半に2%目標に到達する道筋にあり、ECBの金融政策がそれに「強く貢献している」と指摘。「従って、利下げを実施することで、金融政策による抑制の度合いを緩める決定を下した」と記した。
しかし、目標への回帰は「必ずしも平たんな道のりとなるわけではない」とし、「警戒とコミットメント、忍耐が必要だ」と論じた。
今後の政策決定は3つの要素に左右されると同氏は説明。「インフレ率が今後もタイムリーに目標に戻っていくかどうか、経済における全般的な物価上昇圧力が和らいでいるかどうか、インフレを抑える上で金融政策が効果的であるとわれわれがなお判断するかどうか」を挙げた。