モルドバ大統領選、決選投票へ EU加盟は僅差で賛成多数見通し
東欧の旧ソ連構成国モルドバで20日、大統領選（任期4年）と、欧州連合（EU）への加盟方針を憲法に明記するかを問う国民投票が同時に行われ、即日開票された。大統領選では、親欧米派の現職サンドゥ氏が首位を固めたが過半数は確保できず、11月3日に親露派候補との決選投票となる。EU加盟については、僅差で賛成が上回る見通しだ。 今回の選挙を巡っては、親露派を通じてモルドバへの影響力を保持したいロシアが買収や偽情報の拡散などで介入した疑惑が強まっている。決選投票や来夏に予定される議会選に向けて、欧米とロシアがせめぎ合う構図は続きそうだ。 中央選管によると、暫定投票率は51・6％。国民投票の成立に必要な3割を超えた。モルドバは2022年3月にEU加盟を申請し、今年6月に加盟交渉が始まった。国民投票には、加盟へ向けた国家的な意思を明確にする意味がある。 大統領選には過去最多の11人が立候補した。21日午前11時半（日本時間午後5時半）現在、約99％が開票済みで、サンドゥ氏の得票率が4割を超えて首位。親露派政党の支援を受ける元検事総長のストイアノグロ氏が20％台半ばの得票で2位につけた。 国民投票では、賛成が1ポイント未満の差で反対を上回っている。在外投票の一部が未開票だが、在外投票の開票済み分では賛成が圧倒的だったため、賛成多数で決する公算が大きい。 モルドバ当局は今回の選挙で、ロシアが9月だけでも1500万ドル（約22億円）を投じて13万人の有権者を買収した疑いがあると指摘する。欧米各国も、関係者を制裁対象に指定するなどして批判を強めた。 サンドゥ氏は20日深夜、選挙介入について、外国の影響を受けた犯罪組織が最大30万票を買収しようとする「前例のない攻撃」をしたと非難し、「結果が出るのを待ち、断固たる決意で対応する」と述べた。 事前の世論調査では、サンドゥ氏は他の候補に大差をつけ、国民投票もEU加盟賛成が優勢だった。サンドゥ氏には、同日投票にすることで自身とEU加盟への支持率を高め、モルドバの親欧米路線を確実にする狙いがあったとみられる。【キシナウ岡大介】
