<高校野球>元軟式監督が元プロ監督に勝利!
夏の甲子園大会第一日の第3試合(6日・甲子園)は、2年ぶり2度目の出場となった上田西(長野)が、18年ぶり2度目出場の宮崎日大(宮崎)を3-0で下した。上田西の168センチの2年生エース、草海光貴が小気味のいいピッチングで無四球の6安打完封劇を演じた。 実は、上田西の原公彦監督(44)は、2005年から6年間、軟式野球部の監督を務めていた。全国大会出場を果たすなど結果を残したが、硬式野球の指導経験はなく、実際、硬式ボールを触ったのは自らが高校球児だった20何年前以来という言わば“素人監督”。対する宮崎日大の榊原聡一郎監督(52)は、広島、ダイエーでプレー、広島ではコーチ経験まである元プロ監督。その元軟式監督が、元プロ監督を負かしたのだから高校野球は奥深い。 上田西の原監督は「(宮崎日大の先発の)杉尾君は、立ち上がりに不安があるかもしれないと見ていた。初回は、積極的にストレートを狙わせる作戦が成功した」と、まさに初回に電光石火の速攻を仕掛けた。 「甘ければ、全部振れ!」という原監督の号令に合わせるかのようにトップバッターの河野は、2球目を引っ張って一、二塁間を抜き、2番の斉藤は初球をバント、続く三井は初球をライト前へ。わずか4球で一死一、三塁としたのだ。さらに大藪が四球で歩き満塁にすると、松本は思い切りボールを叩きつけ、その打球は前進守備を敷いていた三塁手の頭上を抜けていく、先制2点タイムリーとなった。 今度は、榊原監督が動く。 「力んでボールが来ていない」と、エースの杉尾をすぐさま一塁の黒木とスイッチした。県大会で多用してきたシステムだ。代わった黒木が後続を断つが、その2点が重たくのしかかる。 草海にストレートでインサイドを揺さぶられ、外のボールゾーンに変化するスライダー、ツーシームを正確に操られ、凡打の山を築く。榊原監督は、「打席位置を前に動かしてスライダーを狙え」と指示したが、ことこどく内野ゴロに打ち取られ、5回まで1安打。6回からは、「バットを短く持ち、つないでいこう」と、指示をチェンジ。6回に追加点を奪われ3点差とされたが、7回には益留、溝上の連打で、無死一、二塁からバントで走者を進め、一死二、三塁の反撃機を作ったがあと1本が出なかった。