選挙の争点…食糧基地・北海道は無視できない「第一次産業」農業漁業の現場の「偽らざる本音」
STVニュース北海道
2024年10月15日に公示された衆議院選挙。 争点の一つが「第一次産業」についての政策です。 農業や漁業を取り巻く環境が厳しさを増す中、生産の現場は何を求めているのでしょうか? 旭川で100年以上続くコメ農家の五代目・古屋さんです。 肥料や機械の燃料など、コメ作りに必要なものはすべて値上がりしていますが、自ら販売するコメの価格に転嫁することはできないといいます。 (米農家 古屋新さん)「お客さんを少しでも守るというか支えるという意味で、厳しいが値上げはできるだけしないようにしています。ただ、値上げをしていかなければ僕ら自身も皆さんに食べ物とかサービスを提供できなくなる」 この夏「令和の米騒動」とも呼ばれたコメ不足は全国で問題となりました。 新米の販売が始まってからもスーパーで販売されるコメの店頭価格は、2023年の同じ時期より3割ほど上がりましたが、農家の収入が上がった訳ではないといいます。 (米農家 古屋新さん)「消費者にとってはものすごく大きな値上げだと感じられると思うが、僕ら農家としてはやっと帳尻が合うライン。日本人の皆さんが食べ物に困らない国づくりや土台づくりがものすごく大事。いま一度政治家の皆さんにも考えてほしい」 一方、漁業に従事する人はどう感じているのでしょうか? 日高の浦河町の漁師・岩間さんです。 長年、頭を悩ますことがあるといいます。 (漁師 岩間俊幸さん)「後継者がいないということと、担い手・漁師をやる人がだんだんいなくなってきたことが一番痛手になっています」 岩間さんの船の乗組員は7人。 その内4人はインドネシアからの研修生です。 北海道の漁師は2008年から右肩下がりで、2023年に2万人を切り、担い手不足は深刻です。 (漁師 岩間俊幸さん)「今後どうなるかっていうのは、ほとんど予想がつきません」 道東・浜中町のコンブ漁師・山﨑さんは海の変化を訴えます。 (昆布漁師 山﨑賢治さん)「天然コンブをとって生活しているんですけども、今年はナガコンブという主力のコンブが例年よりも3~4割とれない状況で」 海水温の上昇で穴があくなど、売り物にならないコンブが多くなっているといいます。 (昆布漁師 山﨑賢治さん)「海洋環境の変化が著しくて、いままでとれていたものがとれなくなってきたりとか、魚種の交代がかなり顕著に進んでいるところかなと思います」 山﨑さんたちは海の変化に対応しようとコンブの養殖に乗り出しました。 (昆布漁師 山﨑賢治さん)「やっぱり自然には抗えないので、うちらが海洋環境に合わせてとか気候に合わせて漁獲する技術を、いまのうちにしっかり、困る前に習得しておくのが大切ではないかと思っております」 食料をめぐり政治に求められるものは何か? 北大の山崎教授はー (北海道大公共政策大学院院長 山崎幹根教授)「温暖化によって農業も漁業もだいぶ変わっている。そうした状況を北海道の地域特性をいかに地元の国会議員が訴えて、中央に声を届けていくことが大事」 環境の変化に人手不足など危機に瀕する「第一次産業」をどう守るのか? 食料基地・北海道にとっては危機感をもって議論を深めるべき重要な課題です。