「堅気」の弟のETCカードを使って「1400円を詐取」したとして逮捕…!注目裁判で「六代目山口組の大物組長」に有罪判決が下った「衝撃の理由」
裁判で見せた「大物ぶり」
ヤクザが家族名義のETCカードを使うと、詐欺に当たるのか……。5月8日、大阪地裁で開かれた注目裁判に判決が下った。 【画像】警視庁23歳の美人巡査がヤクザに惚れてすべてを失うまで 詐欺罪で懲役10ヵ月の実刑判決を言い渡されたのは、六代目山口組の二次団体「秋良連合会」(大阪市)の会長・金東力被告(67歳)。「プラチナ」と呼ばれる六代目山口組の直参組長だった金被告は、関西の暴力団社会では名の知れた人物だった。 筆者は判決当日に裁判を傍聴したが、傍聴席は金被告の“関係者”がズラリと並んでいた。開廷後、黒のスーツに大きめのメガネという出で立ちで法廷に現れた金被告は、被告人席から傍聴席を振り返り、目で何やら合図。すると傍聴席にいた組員らしきスーツの男性が、小走りで金被告に近づきそっとペットボトルの水を差しだした。ペットボトルのフタを空け両手でうやうやしく渡している男性の様子からは、金被告の大物ぶりが窺えた。 そんな大物組長が詐取したとされたのは、わずか1400円。一般人であればまず逮捕も起訴もされない金額だ。裁判では、金被告が大阪府警に逮捕されるまでの「大規模捜査」の内容も明かされた。
映画のような尾行作戦
大阪府警が金被告の内偵を開始したのは、’22年の年始頃だ。まず、金被告の自宅前に監視カメラを設置し、行動を監視。金被告が車で移動する際に利用しているETCカードが、金被告の弟・金裕司被告の名義であることを突き止める。ちなみに、弟の裕司被告は兄と同居しているが、暴力団組員ではない“カタギ”である。 そして、同年11月に大規模な尾行作戦を実行。金被告が自身の車で自宅を出ると、バイクやヘリコプターを使って追跡した。実際に車を運転していたのは、「秋良連合」の組員・李晋被告だった。 金被告が乗った車は阪神高速道路に入り、六代目山口組の会合が開かれる和歌山に向かった。他人名義のETCカードを利用して高速道路を利用すれば詐欺罪に問えるが、名義人が同乗している場合は例外だ。そのため、大阪府警は大阪から和歌山まで尾行し、名義人である弟の裕司被告が同乗していないかを徹底的にチェックした。 大規模な尾行作戦は2度行なわれ、大阪府警は金被告が弟名義のETCカードで高速道路を利用した事実を確認した。内偵は1年にわたり、3人の刑事が投入されたことやバイクやヘリを使っての尾行が行われたことを考えると、莫大な費用を投じての捜査だったことがわかる。