じつは「二極化」がすすむ…「トランプラリー」に沸く株式市場にひそむ「大きなリスク」
業績を伸ばすのは一部の企業
川崎:アメリカ経済はまだまだ強いという側面もありますか? 中野さん:アメリカはこれまでも金利を上げてきましたが、経済が減速することはありませんでした。その大きな要因は、世界の覇権を握っている産業があるからです。特に有名なのは「GAFAM(ガーファム)」と呼ばれるGoogle(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Facebook(現Meta)、Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)ですね。ITにおいては最先端のテクノロジーがあって、アメリカ経済を牽引しています。他にも半導体ではNVIDIA(エヌビディア)のような非常に高度で最先端の技術を持った企業があります。産業の核となる部分はアメリカがしっかりと握っている状況ですから、アメリカ経済は強いですよね。 一方ではアメリカの産業全体で見ると、そのような高い技術力で世界の覇権を握る企業は業績を伸ばしていますが、それはほんの一部に過ぎません。先のGAFAMやエヌビディアのような企業はどんどん業績を伸ばしますが、それ以外の企業の業績はそれほどよくありません。例えばボーイングは赤字に喘いでいますよね。資金調達に失敗したら倒産もありえますから、アメリカ経済においても二極化が進んでいます。 ナスダックやNYダウなどアメリカの経済指標は強いアメリカを示していますが、トランプ氏が大統領に就任した後でどこまで政策を実行していくのか、それが鍵になってくると思います。2024年11月、12月はちょうど変わり目でもあるので、不安定な局面でしょうね。トランプラリーも長くは続かないでしょう。ただ、どこかのタイミングでインフレ懸念にマーケットがフォーカスすると、株価は大きな調整を強いられるかもしれません。 次の記事では、2024年のマーケットの振り返りと、2025年の展望をうかがっていきます。 次回記事<「大暴落」からの「史上最高値」を達成した日本の株式市場、荒れるマーケットに「一般人」はどう立ち向かえばよいのか>へ続く。
川崎 さちえ(フリマアプリ・ネットオークションガイド)