低リスク「胸キュン映画」は飽和状態 少女漫画の実写化の次に来るのは何?
「胸キュン映画」は少女コミックからライトノベルへ
これまでの話を聞いていると、“胸キュン映画”はリスクが低いとは言うものの、同ジャンルの作品数の多さによるマンネリ感など、確実に成功が見込まれるかと言えばそうではない印象がある。「ワーナーでも過去には、『ヒロイン失格』や『オオカミ少女と黒王子』で好結果を残していますが、こうした食傷気味の市場に『先生! 、、、好きになってもいいですか?』を投入するのは、さらなるヒットを生むのか、自爆行為なのかわからない。かなりドキドキした心境です」と率直な心情を吐露する。 それでも「原作は20年ぐらい前のものですが、今の時代にあった切り口で描けると思ったからこそ実写化したわけで、ヒロインの響を演じた広瀬すずさんも、アイドル的な側面を好むファンもいるのかもしれませんが、女優としての存在感や演技力は確かで、実力で頭角を現してきた女優さんだと思っています。キャラクターへの感情移入という意味では、生田斗真さんが演じた伊藤先生をはじめ、見応えは十分です」と自信をのぞかせる。 今後の“胸キュン映画”については「今年のように乱立することはなくなってくると思いますが、これは一過性のブームではなく、しっかりジャンルとして根付いているので、コンスタントにこうした映画は作られていくと思います」と展望を述べると、「そのなかで、ここ最近では“胸キュン映画”の原作が、少女コミックから、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』や『君の膵臓をたべたい』などのライトノベルへシフトしているように感じています。絵があるコミックよりも、活字の方がいろいろとイマジネーションが広がり、より“胸キュン”できるといわれ始めているんです」と業界の傾向を語った。 (取材・文:磯部正和)