Netflixシリーズ「さよならのつづき」 が「第29回釜山国際映画祭」でワールドプレミア 有村架純&坂口健太郎が韓国語で挨拶
Netflixシリーズ「さよならのつづき」が「第29回釜山国際映画祭」でワールドプレミア上映され、主演を務める有村架純と坂口健太郎が、黒崎博監督とともに登壇した。 本作は、北海道、ハワイの壮大な風景を舞台にした、事故で最愛の恋人を失ったひとりの女性と、その恋人に命を救われたひとりの男の“さよなら”から始まる愛の物語。10月2日より開催されている、アジア最大規模の映画祭「第29回釜山国際映画祭」において、日本作品として初めて「オンスクリーン部門」に正式招待された。「オンスクリーン部門」は 2021年に新設された配信ドラマ向けの部門で、今年最も期待される話題のドラマを紹介する、世界中の配信ドラマファンからも注目を集める新部門。 Netflix日本作品の最新作ということもあり、会場には満席となる約800人の観客が来場。1&2話のワールドプレミアの上映が終了するや否や、自然と会場中から拍手が沸き起こり、観客と一緒に本編を鑑賞していた有村、坂口、黒崎監督は拍手の中3人揃ってステージに登壇した。 有村は、やや緊張も伺える面持ちで、韓国語で「こんにちは有村架純です。お会いできて嬉しいです。この作品をたくさんたくさん愛してください」と挨拶。坂口からも韓国語で「こんにちは、坂口健太郎です。みなさんドラマいかがでしたでしょうか。ありがとうございます」と挨拶があると、観客から歓声があがった。
【Q&A】
――脚本を書かれた岡田惠和さんと、この作品を作り上げるにあたって悩まれたと記事で読みました。制作過程を改めて教えてください 黒崎 最初の発端は本作のNetflix岡野真紀子プロデューサーの個人的な体験から着想を得てスタートしました。そして、この物語が単にリアルな話ではなく、少しだけファンタジックな要素(臓器移植によって記憶が転移するというエピソード)も含んでいる為、たくさんのリサーチや調査を経てこの作品を作り上げてきました。そして、この物語はラブストーリーではありますが、人を愛することってなんだろうという非常にシンプルな問いに対して、キャストスタッフ全員でその答えを探す旅をする為に、たくさんの綿密なリサーチを重ねていきました。 ――主人公・さえ子というキャラクターを演じる上で準備したことは? 有村 監督やスタッフとみんなで話し合って作り上げていったのですが、日本人は元々喜怒哀楽を表に出すというよりも、どちらかと言うと控え目で繊細な表現をすることが多いと思いますが、日本人的にはない、嬉しい、楽しい、悲しい、怒り、のような素直な感情を思いっきり気持ちよく表現できるような女性像を目指しました。さえ子というキャラクターの強さや無邪気さを表現できたらいいなと思い挑戦しました。 ――成瀬という役どころを演じていかがでしたか? 坂口 本当に難しかったです。自分の体があって、そこにある種2人の意識があって、撮影中も今は一体どちらの自分なのか説明ができないほどでした。そんな経験は誰もしてきていないからこそ、監督とスタッフと話し合いながら少しつづ積み上げていきました。そしてそこには正解がないと思っていたので、ひとつのシーンを何度も紆余曲折を経ながら地道に積み上げるように撮影していきました。今でも正解はわからないですが、みんなで、雄介が入った成瀬の人物像を作り上げていきました。 ――(本作で重要なカギとなる)ピアノのシーンについてはいかがでしたか?) 坂口 いやもう大変でしたね(笑)でも、今までピアノを弾いたことがなかった成瀬が突然ピアノの演奏ができてしまうあのシーンはある種ファンタジーだと思うし、そこには確かに成瀬も雄介も実在していて。いろいろな角度から何度も撮影したので、撮影自体もそれに向けた練習も、時間をかけて臨みました。 ――みなさんにとって愛とは何でしょうか? 黒崎 自分で出した問いに自分で答えるのは難しいですね(笑)自分がこの作品を撮りながら思っていたのは、「愛とは恐れ」です。人を愛するということはとても幸せなことです。でも本当に誰かを好きになってしまった時に、その愛が、自分自身を、また、相手や他の誰かを傷つけるのではないか、そういった、いろいろなかたちの愛がこのドラマにたくさん込められています。そのどれもが深くて強い。その心情をこの2人が繊細に感じながら演じてくれました。 有村 私が思う愛とは、涙。その理由は、想うからこそ、友達でも家族でも恋人でも、うれし涙や悲しい涙を一緒に流したり、自分の心が1ミリでも2ミリでも動くものに対しては、すべてに愛が生まれている証なのかなと思います。素敵な景色を見て何故かわからないけど涙が出たり、そういったものに出会った瞬間にさえ、愛が生まれるのかな、と思います。 坂口 愛かぁ。僕は愛とは?って問われたときに自己犠牲と答えていて。恋人同士でも家族でも友人でも、自分のことを犠牲にしてまでも相手の為に何かしたくなった瞬間に、初めて愛になるんじゃないかなと思います。だからこそ、自分の中の愛の許容量を増やしておかなきゃいけないなと思いますね。 ――(最後に、ご挨拶をお願いします) 黒崎 素晴らしい機会をありがとうございます。この作品をお見せするのは世界中で今日が初めてなのでとても楽しみに緊張してやって来ました。今日みなさんに温かく見守ってもらって、やっと羽ばたいていけるなという気持ちでいます。この映画祭にはたくさんの国からたくさんの作品が持ち込まれています。僕たちも、この作品の全8話の時間を使って精一杯人間の愛について考え描きましたが、それでも一作品で人間のごく一部しか描けないからこそ、この映画祭全体で積み重なり作品が育っていくことで、だんだん人間というものが浮かび上がってくるのではないかなと、昨日から参加していて考えています。ぼくたちの作品も、たくさんの作品の中の大事なひとつのピースになれば、と願っています。 有村 この歴史ある映画祭でこの作品を残せたことをすごく嬉しく思います。大切な人が亡くなった時に、魂は生き続けていく、と思うことで自分の悲しみを受け入れようとすると思うけど、やっぱりそんな美しいことばかりを思えるわけではないと思うんですよね。どうしたってそこにいて欲しい、触れたい、声が聞きたい、と思うことはきっとたくさんあって、だからこそ、今みなさんが思う大切な方達を今一度改めて想うことができたら私としてとても幸せなことだなと思います。どうか後悔のないように大切な人との時間を過ごして欲しいです。そして、この物語と同じように、悲しいことがあっても人生は続いていくので、その悲しみを乗り越えた先にきっとある希望をくれるような作品になっている、そういうメッセージが伝われば嬉しいなと思います。ありがとうございました。 坂口 やっぱり愛情というものはすごく普遍的でもあり、国や人種やいろんなものを超越してそこに存在しているものだと思います。人間は必ずしも正しい選択はできないし、そこでどうしても間違いを犯してしまう時もあるし、それでも僕達は生きていくんですよね。悲しいことがあっても僕らは一歩足を前に踏み出さないといけなくて。成瀬やさえ子は演じた役ではあるけれど、今見てもらった映像の中で彼らは確かに存在していて、呼吸していて、彼らのその生き様やストーリーを皆さんの心の中に残して欲しいと思います。あとすごく個人的なんですけど、2回目観たほうがぐっときたんですよね。いいドラマだなと思っちゃって(笑)。その時の自分の環境だったりタイミングで見え方が少しずつ変わっていく作品だとも思うので、彼らの生きていた証を心に留めてもらえたら嬉しいなと思います。今日はありがとうございました。 Netflixシリーズ「さよならのつづき」は11月14日(木)より独占配信。
otocoto編集部