熊本市動植物園「サポーター制度」20年目 寄付金、順調に増加 さらなる認知度向上で安定的な運営へ
熊本市動植物園の「動物サポーター制度」が今年、20年目を迎えた。当初は市民から動物の餌代を募る目的だったが、2021年度からは使途を開園100周年(29年度)を見据えた大規模改修の事業費も含む「開園100周年記念サポーター制度」に変更。ふるさと納税も活用して寄付額が増加する中、自主財源比率の上昇を目指す園は、制度のさらなる認知度向上を目指している。 9月上旬、動物ゾーンで開かれた本年度2回目のサポーターズデー。約70人の参加者は八つのコースに分かれ、チンパンジーやキリン、レッサーパンダなどへの餌やりや、ゾウの観察を楽しんだ。 参加者は「チンパンジー愛ランド」で、ブドウやリンゴをヤシの葉に結び付けるなどして自然に近い状態を演出。チンパンジーが餌を食べる様子を見学した。母親と弟の3人で訪れた6歳の女児=北区=は「自分が作った餌を食べてくれてうれしかった」と喜んだ。 ■寄付累計1億円超
制度は、個人会員がブロンズ(寄付額2千円以上)とゴールド会員(同1万円以上)の2種類。いずれも1年間、入園が無料になる。サポーターズデーはゴールド会員のみが対象となる。ふるさと納税では、寄付金の用途を指定できる制度を活用。10万円以上を寄付した企業・団体はホームページで紹介している。 寄付額は、現制度に変更して以降、順調に伸びている。以前は毎年200万~300万円だったが、制度変更後の21年度は1207万円、22年度は1679万円、23年度は5614万円に増えた。05年度から今年7月まで延べ2万8482人から約1億2430万円の寄付金が寄せられた。 ■自主財源比率39% 寄せられた善意は、これまでにレッサーパンダ舎の導入や、サバンナエリアの整備基本計画策定の業務委託費に活用。今後、100周年に向けてサバンナエリアの本工事や、いきもの学習センター整備も控える。 園は安定的な運営に向け、さらなる寄付金増加を目指す。施設整備費や餌代など園の年間運営費は約9億円。このうち寄付金に、23年度の入園料や遊戯施設使用料などを加えた自主財源は3億5900万円で、運営費に占める比率は39%。園は比率を50%まで引き上げる目標を掲げる。
松本充史副園長は「サポーター制度は、まだ伸ばせる余地がある」と評価。園のホームページや入場ゲートに制度の説明を掲示し、「個人や企業に向け、もっとサポーター制度を知ってもらえるよう広報を続けていく」と話す。 窓口では、園の2カ所の出入り口で受け付け。ふるさと納税は、仲介サイトで寄付先を「熊本市動植物園開園100周年記念サポーター募集」に指定する。同園☎096(368)4416。(諌山美羽)