「リッター馬力」って、どういう意味?
「リッター100馬力」が目標だった
本格レースにも登場する、いまどきの排気量1000ccクラスのスーパースポーツは、いまや200馬力オーバーが当たり前で、とてつもないパワーを発揮します。しかし半世紀以上昔、国産バイクが世界に打って出た1970年代頃は、高性能なスポーツバイクの最高出力の指針として「リッター100馬力」という言葉がありました。 【画像】「えっ…!」これが超絶カッコいい「ハイパワーバイク」です(21枚)
「リッター馬力」とは、「排気量を1000ccに換算したら何馬力になるのか?」という数値のことで、排気量が異なるエンジンを比較する際に用いられました。そして当時は、高性能エンジンは「リッター100馬力」を達成するのが目標とされていました。 計算はいたって簡単で[最高出力(PS)÷排気量(cc)×1000=リッター馬力]です。 当時、リッター100馬力を目標としていたのは4ストロークエンジンで、じつは2ストローク車はリッター100馬力を超えているモデルも少なからず存在しました。これは4ストロークがクランクシャフト2回転で1回爆発するのに対し、クランク1回転ごとに毎回爆発する2ストロークの方が馬力を稼ぎやすかったためでしょう。 ちなみに、国産メーカーが2ストロークでパワーを競う中、ホンダは当時から4ストロークで勝負していました。「CB」の名を始めて冠した「ベンリィCB92スーパースポーツ」は排気量124ccで最高出力15馬力、すなわちリッター121馬力を達成していました。 とはいえ、当時のホンダのスポーツモデルはほとんどレーシングのような作りのため、プライスも飛び抜けていました。
400クラスで、初めてリッター100馬力を達成したのは?
ホンダから「CB750FOUR」(1969年発売)が登場した頃、あまりのハイパワーと事故の増加などの社会問題から、1969年以降は国内販売モデルの排気量上限の自主規制ができました。そこで有名なのが、カワサキの輸出モデル「900 Super4」こと「Z1」と、国内モデルの「750RS」こと「Z2」です。 当然ながら排気量で勝る「Z1」の方がハイパワーですが、リッター馬力に換算すると90.8馬力となり、「Z2」がリッター92.8馬力で勝っています。