【大人の発達障害かも?と思ったら】なぜか相手を怒らせてしまうという人に医師がアドバイス
職場でのコミュニケーションがスムーズにいかないと感じたことはありませんか? 昭和大学発達障害医療研究所の太田晴久先生によると、発達障害の特性が強い人にとって、コミュニケーションは悩みの種になりやすいのだそう。 【画像】大人の発達障害かも?と思ったら 「本来、人の脳の発達はさまざまで、発達障害が「ある人」と「ない人」にはっきり二分されているわけではありません。私にも、皆さんにも脳の特性があり、私たちはそのグラデーションのなかにいます」(太田先生) コミュニケーションにまつわる困りごとの傾向と対策を、太田先生に教えていただきました。
【大人の発達障害の困りごと】なぜか相手を怒らせてしまうことがある
ADHDの傾向が強い場合、衝動性の高さから相手の言葉をさえぎって話し始めたり、余計なひと言を言ってしまったりすることがあります。ASD(自閉スペクトラム症)の傾向が強い場合は、見たまま・感じたままを言葉にしてしまうことが多いようです。断定的できつい言い方になってしまったり、目を合わせずに話すといった傾向もあります。反射的に発言するのではなく、最後まで相手の発言を聞くように心がけたり、言葉を口に出すまでに少し時間をおいたりしてみましょう。 〈自分でできる対策〉 ●口に出す前に少し時間をつくる 失言で後悔してしまう…という人は、勢いに任せて発言する前に、頭の中で3秒ほど数えたり、深呼吸をしたりしてみてください。「感情に任せて言いたいことを言ったらどうなるか」を考える時間が少しでもあると、衝動性の高さからくる失言は減らせます。考える時間をつくるために、頭に浮かんだことを文字に書き出してみるのもおすすめ。文章にして読み返すことで客観的になれるので、違う言い回しを冷静に考えることができます。 ●周囲の助けを借りて理解する 表情や声のトーンから相手の気持ちを察するのが苦手な人は、論理的には正しい受け答えでも、相手の感情を無視した発言をしてしまうことがあります。人づき合いが上手な人の受け答えを観察して真似してみたり、相手をよく知る第三者(同僚など)に相談してみると、具体的なアドバイスをもらえることもあります。 〈周囲ができること〉 ●過剰に空気を読むことを求めない 本人に悪気はなく、相手を侮辱するつもりもまったくありません。「こんなふうに言ってみたらどう?」とアドバイスする、「意見が異なるときも、『そうですよね』『なるほど』など、まず相手を肯定してみるのはどう?」と発言の仕方を一緒に考えてみるなど、そのつど具体的に伝えましょう。 昭和大学発達障害医療研究所 所長 太田晴久 精神保健指定医、日本精神神経学会 指導医・専門医。2002年に昭和大学医学部卒業後、昭和大学附属病院、昭和大学附属烏山病院 成人発達障害専門外来などで勤務。2012年から自閉症専門施設のUC Davis MIND Instituteに留学し、脳画像研究に従事。2014年から昭和大学附属烏山病院、発達障害医療研究所にて勤務し、現在は昭和大学発達障害医療研究所 所長(准教授)。特に思春期以降の成人を中心とする発達障害の診療や研究に取り組んでいる。著書に『大人の発達障害 仕事・生活の困ったによりそう本』(西東社)など。 イラスト/hakowasa 取材・文/国分美由紀 編集/種谷美波(yoi)