「人に勇気を与えたい」 ダイ&シュンが世界の変化を促す存在に
今の活動の原動力は?
◾️人に影響を与える存在に 「YouTuberのエマ・チェンバレンを知って、彼女の唯一無二の世界観やネガティブな部分をシェアする姿にすごく元気をもらいました。僕も彼女のように、人に勇気を与えられる人間になりたいと思っていたんです。そして、今その思いはさらに強くなっています。もっと視聴者やファンの声を受け止める機会をつくっていきたい。それが今の自分の原動力です」(ダイ) この「人に影響を与えられる存在になる」という目標は、『ボーイフレンド』によって達成されつつあるようだ。その理由はボーイフレンドにリアルさがあるからだろう。これまでマス的に人気を集めた同性愛作品として、例えば『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)や『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)などがあったが、ボーイフレンドはそういったフィクション作品とはジャンルの異なる、純粋な恋愛リアリティショーなのだ。 gay当事者である筆者が観ても、本作は「gayの恋愛はこう」といったステレオタイプ(即物的な恋愛のイメージ)を感じさせない。ゆったりとしたテンポで恋愛が進み、それは他のセクシュアリティの恋愛と何ら変わらないことがわかる。この点が、gay当事者のみならず様々な視聴者の共感を生み、エンカレッジしたのであろう。 ダイはこうも話す。「実際に『もう一回人生、頑張ろうと思った』といった声をいただくことがあります。どの瞬間にそう感じてもらえたのかはわからないけれど、そういう言葉をもらえるのは嬉しいですね」。 シュンもまた、番組の影響力を強く実感している。「ここまで世間に認知されているgayカップルって、全世界でもあまりいないと思います。だからこそ、日本でも同性婚が認められるとか、法整備が進んでストレート(異性愛者)の人たちと遜色のない人生が送れたらいいし、僕たちの存在が少しでもその変化を促せたらいいな。それが僕の野望なんです」。 ◾️10代の悩みに寄り添いアドバイス そんなダイシュンが出演したのが、セクシュアリティーやジェンダーについて10代とLGBTQ+のメンターたちが本音で語り合う番組『虹クロ』。「私と似た10代の体験を知りたい」「LGBTQ+に関する正しい知識を学びたい」━━そんな悩みを持つ10代の若者たちが匿名で出演し、タレントを中心としたメンターが相談を聞いたり、ともに議論したりする。 番組にメンターとして多数出演している井手上漠は、番組への想いを自身の経験と重ねて次のように語る。 「自分が10代の時にこういう番組に出会えていたら、もっと生きやすかったと思います。LGBTQ+はマイノリティ(少数派)と言われがちですが、実際は多くの人が悩んでいる問題です。虹クロのメンターを務める中で、それを強く実感しています。また、地方と都市では悩みに大きな格差があるのも事実です。そうした格差を少しでも縮め、どこに住んでいても偏見のない社会を目指したい。この番組がその一助になれば嬉しいですね」 1月7日放送回でゲストとして出演したダイシュンも、自身の経験をもとに10代の悩みに寄り添い、アドバイスを送った。 「(番組の現場が)本当に温かい空間で、僕たちゲストも居心地が良かったです。あの雰囲気なら悩みもきっと話しやすかったと思います。また一方で、井手上さんが言うべきことをしっかりと伝えられているのが印象的で、それは10代の子たちにとって大きな価値があると感じました」(ダイ) 「これまで、10代の悩みを聞いたり相談に乗る機会はあまりありませんでした。そういう意味で、この番組はとても貴重だと思います。実際に10代の悩みに寄り添い、一緒に考えたりアドバイスできたことは本当に嬉しかったです。それがマスメディアを通じて多くの人に届くのも意義深いことだと感じています。こうした機会に参加できて良かったです」(シュン) ダイシュンが出演する『虹クロ』は1月7日午後8:00~8:29にNHK Eテレで放送される。
Forbes JAPAN 編集部