「昇太がいない2024年のベイスターズを、あなたはどんな気持ちで見守っていたのでしょうか…」今永昇太投手への手紙
おかあさん、こういうときのベイスターズは強いんだよなとも思いました
キツい戦いが続きました。CSファーストもCSファイナルも、そして日本シリーズも。誰がどう見てもベイスターズより相手チームは強力で、さらにベイスターズはここにきてケガ人続出。一つ勝つたびに一人仲間を失っていくような、いつだって神はベイスターズばかりに試練をお与えになると、おかあさん野球の神様を呪いました。 でもそんな時、おかあさんの中のキヨシが言うんです。 「筒香がいない、誰がいない、そういうチーム事情はどのチームも持ってる」 「これはマイナスじゃない、みんなの意識を高めていく、絶対的なチャンスだと俺は思うんだよな」 それは2014年、守備中に梶谷と交錯した筒香がケガをし、初CSを射程にとらえた大事な夏に主砲を欠いたチームに中畑清元監督が語りかけた言葉でした。 今シーズンのベイスターズを攻守にわたり支え続け、侍ジャパンにも初選出された山本祐大を欠き、その穴をしっかり埋めてくれていた扇の要、伊藤光を欠き、昇太渡米後の絶対的エースとして君臨した東克樹を欠き、ポストシーズンはマンガでもやりすぎなくらいの絶体絶命大ピンチだらけ。 だけど昇太、おかあさんなんの根拠もないけど、こういうときのベイスターズは強いんだよなとも思いました。いや、極限の精神状態に陥ったときのベイスターズファンだけが持つ、それは特殊能力だったのかもしれません。 だってあのキヨシの言葉には続きがあったから。 「なぁ大輔、今日を大事に行こうよ。みんな集中して最高の野球をやって横浜に帰ろうや」 2014年の夏、キヨシがこう語りかけた三浦大輔は、今キヨシと同じ監督として、日本シリーズホーム2連敗を乗り越え、本当に「最高の野球をやって」横浜に帰ってきてくれました。 ポストシーズン中、三浦監督が何度も繰り返していた「全力を出し切ろう」というフレーズ。右の肘が伸びなくなるくらい投げ続けてきた三浦監督ほど「全力を出し切ろう」という言葉に説得力がある人はいないかもしれない。強いチームを倒すためには、ベイスターズは全力を出し切るしかない。出し切る、勝ち切る。その向こう側にあったのは、金と紺のテープが吹雪のように舞い踊り、炎と花火が上がる中、泣きながら抱き合うファンと、笑顔の選手に5回胴上げされる三浦監督。おかあさんが26年前にハマスタで見た権藤監督と同じ、宙を舞う三浦監督のその指は「1」を指していました。