13か国の駐日大使が県内で初の視察ツアー 五重塔改修工事見学や大内塗の箸作り体験【山口】
13カ国の駐日大使による県内視察ツアーが7、8の両日、県内各地で行われた。8日は山口市内で香山公園の国宝瑠璃光寺五重塔の檜皮(ひわだ)ぶき屋根の改修工事を見学した。 外務省が諸外国と日本各地の交流を促進しようと1988年度から毎年実施しており、県内では初めて。モロッコ、メキシコ、フィンランド、シンガポールなど13カ国の大使とその家族計18人が参加した。7日は岩国市で錦帯橋などを視察後、山口市に移動して野田神社能楽堂で鷺(さぎ)流狂言を鑑賞して、湯田温泉に宿泊した。 五重塔では伊藤和貴市長が市の特徴や歴史を紹介し、赤ちょうちんを記念に贈呈。「再び来訪され、山口七夕ちょうちんまつりの幻想的な風景を楽しんでほしい。今回のご縁が今後の交流へとつながれば」と歓迎した。 施工業者の渡辺敦之さんが塔内部を案内。檜皮ぶき工場「ひわだや」の佐々木真代表が竹くぎによる檜皮の打ち付けを実演すると、大使らは興味津々に質問を繰り出していた。 下竪小路の山口ふるさと伝承総合センターでは大内塗の箸作りを体験。中村民芸社の中村理恵専務、市版地域おこし協力隊として大内塗の技術習得に励む金子祐樹さんと津村真衣さんが指導。大使らは漆を塗り、飾りの薄い金箔(きんぱく)が息で飛ばないよう注意して貼っていった。思い思いに飾り付け、その出来栄えに笑顔を見せていた。 メキシコのメルバ・プリーア大使は「自然、歴史、文化、産業、食事などいずれをとっても優れていて、山口に無いものは何だろうと考えるほどだ」と絶賛。米有力紙に市が「今年行くべき52カ所」に選ばれたことを踏まえて「英語の対応や若い人を巻き込んだアピールが重要。選出されたことは喜ばしく、PRにつながるが、選出前から自然がきれいで、人が優しく素晴らしい市と県であったことも忘れないでほしい」と述べた。 大使団は、美祢市の秋吉台などを視察後、帰途に就いた。