娘が「建設業界に勤めたい」と言っています。年収は高くても「残業」が多そうで不安です……
近年、建設業は待遇改善が進んでいるといわれていることもあり、将来が期待できる業界の一つです。それでも過去には、その労働環境が問題となったこともあり、子どもから「建設業界に進む」と聞くと、不安になる親もいるようです。そこで、建設業の現状について、統計を見ながら確認していきましょう。
なぜ建設業にはマイナスイメージがある?
建設業がマイナスイメージを持たれる理由としては、さまざまなものが考えられます。その中でも大きなものとして、労働環境が挙げられるでしょう。メディアでの取り上げられ方を見ていると、「長時間労働で休日が少ないため、休日出勤やパワハラが問題視されることがある」などといわれています。それを目にしたことで、視聴者がマイナスイメージを感じてしまうのだと思われます。 実際に野原ホールディングス株式会社が2023年に実施した調査によれば、建設業のマイナスイメージや課題については、建設業界従事者と大学生がともに、残業・休日出勤が多いことや、給料が低いこと、昔ながらの文化や慣習が多いことなどを挙げています。 とはいえ、あくまでもこれは一つのアンケートの結果にすぎず、全ての建設業の会社がそうであるわけではありません。建設業と一口にいっても、会社によって社風や働き方は大きく異なります。また、事務関係か現場関係かなどの諸条件によって、実際の環境に違いが出てくることには、留意しておくべきでしょう。
建設業の年収や残業などの働き方は?
では、建設業界の平均的な就業日数や年収など、実際の労働環境はどうなっているのかを、政府統計で見てみましょう。 総務省の「労働力調査 基本集計 全都道府県全国年次」によれば、建設業全体の平均的な年間就業日数は247.9日です。全体の平均は232.4日ですので、建設業の出勤日数は、全体よりも多いようです。また、1年を365日で考えると、年間の休日数はおよそ117日です。一般的に土日祝が休みであれば、年間で120日程度の休みがあります。加えて年末年始やお盆休みを入れれば、年間で125日前後の休みになると考えられます。 こうしたことから考えると、年間117日の休みは、少なすぎるというほどでもありませんが、「有給休暇とは別に、土日祝に年末年始、お盆の休みがある」というような働き方はできないでしょう。 また、年間での就業時間数は2013.5時間となっており、全体の平均である1820.3時間と比べると、多くなっています。とはいえ、1日当たりの就業時間はおよそ8.1時間であり、仮に1日8時間の労働が一般的な労働時間と考えると、1日当たりの残業時間はさほど多くはないようです。 なお年収は「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、建設業の平均で488万3000円となっています。業種合計の平均額は389万6000円ですので、平均よりもだいぶ高めの年収が得られるようです。