NFTは終わった。だが、あらゆるものを変えている
2年前、NFTは高騰する価格とメインストリームからの注目で世界を魅了した。だが、その後市場は急反落し、多くの人がNFTは「終わった」と述べた。 早計だった。NFTは世界的な規模で普及を続け、業界全体を再構築している。 NFT市場が1日あたり1億9100万ドル(約306億円、1ドル160円換算)以上相当の約20万という販売量に達しているにもかかわらず、CryptoPunksやBored Apesのようなニュースの見出しを飾るプロジェクトのせいで、NFTをインターネットカルチャーの玩具と軽くあしらうことは簡単だ。 NFT業界は、莫大なエネルギーとリソースを費やし、これまでで最も画期的なテクノロジーを開発、テスト、アピールしてきた。 一部のNFTは現在、90%以上下落しているが、NFTを早急に見限るのは間違いだ。
NFTは「何を」ではなく、「どのように」するか
デジタルネイティブな環境で資産を取引するには何が必要だろうか? 所有権だ。 NFTは、資産の権利を誰が保有しているかを記録する手段に過ぎない。NFTは所有権や真正性を証明でき、相互運用性、安全な移転、検証などブロックチェーンの多くの機能を備えている。 NFT業界は、24時間365日、誰でも、どこでも、従来のシステムの何分の一かのコストで利用でき、デジタルファイルを含むあらゆる資産に固有性を伝える画期的な財産権システムを開発した。 売買や譲渡の対象となるのは、NFTにリンクされた原資産の権利。譲渡できる資産や権利は事実上無限だ。
現実資産(RWA)での活用例
NFTは可能性を変え、既存の業界を再構築するグローバルな所有システムだ。各分野での活用方法を見てみよう。 デジタルアートとコレクティブル:NFTは、アーティストや知的財産権保有者に、検証可能な固有のデジタルアイテムを作成する手段を提供し、新たな収益化の道を開く。NFTの保有者は、デジタル作品の所有権、使用権、再販権などの権利を得ることができる。 例えば、「NBA Top Shot」は、所有権と固有性を証明するNFTによって、ファンが公式ライセンスのNBAハイライト動画を売買できるマーケットプレイスを開発し、大成功を収めた。 株式と債券: 金融の世界もトークン化が進んでいる。NFTは透明性の高い所有権と即時決済により、伝統的な金融商品に、より効率的でアクセスしやすい市場を提供する。 カーボンクレジット:特定の二酸化炭素排出量の削減量を表すNFTは、作成から無効化まで簡単に追跡できるため、カーボンクレジットの真正性を確保し、規制基準を遵守しながら気候変動対策に貢献できる。 NFTテクノロジーはまた、音楽、ビデオ、チケット販売、ゲーム、貿易金融、高級品、身分証明、プライベートクレジット、AI、現物商品、さらには車両登録にまで革命をもたらしている。 NFTは検証可能な、グローバルな所有権と真正性によって何が可能かを再定義する。インターネットの黎明期には、アクセスしやすく手頃な通信が世界をどのように変革するかはわかっていなかった。だが、あらゆる業界が大きな影響を受けた。 NFTは同じような変革のパワーで世界を再構築し、前例のない革新と経済の可能性を生み出している。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:gopixa / Shutterstock.com|原文:NFTs Are Dead (But They’re Changing Everything)
CoinDesk Japan 編集部