女性作家らが「性加害のない世界を」と宣言
性暴力やハラスメントなどを根絶しようと、女性作家らで作る日本ペンクラブ女性作家委員会が8日、宣言を発表しました。 日本ペンクラブの女性作家委員会は2年間、性暴力やハラスメントについて5回のシンポジウムで議論を重ね、8日に東京都内でまとめの集会を開きました。 女性作家委員会は「個人の人生に深刻な影響を与えるものであるにもかかわらず、こうした問題は男性中心社会で、これまで軽視されてきたが、声をあげる被害者や被害者支援の輪が広がり、社会の認識は急速に変化している」として、集会の最後に「性加害のない世界を目指して」という宣言を発表しました。 宣言では「あらゆる差別、精神・肉体・性への、いかなる暴力、いかなるハラスメントも許されるものではないと考え、根絶に取り組んでいく」と述べています。 そして、「日本の出版ビジネスも、人権を尊重する意識や仕組みを、国際基準を満たすレベルに引き上げることが急務と考えます」と訴え、性的な被害など人権侵害事案の調査や提言を行う独立性の高い組織が日本にも必要だという議論を踏まえて、宣言では「国内人権機関設立などの可能性を見据え、具体的な一歩を踏み出す必要がある」と述べました。 さらに、「まずは文芸・ジャーナリズム・アカデミズムなどの世界が、構造的に生じうる自らの加害性にも目を向け、声なき声がかき消されない、よりよい社会を目指し、未来に手渡す努力をし続けます」と締めくくっています。 宣言について、作家の篠田節子さんは「具体的な抑止力にしていくことが大切だ」と述べた上で、具体的には「性被害者は簡単には声をあげられない。助けて、と駆け込めて、医療や弁護士らにつながれる場所が複数必要だ」と強調しました。 また、教育ジャーナリストで、発達のでこぼこがある人たちへの支援なども続けてきた品川裕香さんは「障害がある人は男女ともに性被害に遭いやすいことは、国際的にも知られている。障害の特性が加害者に利用されがちだ。警察などでも被害の供述が難しく(加害者の)不起訴につながることもある。被害の実態調査をしてほしい」と提言しました。 ハラスメントに関する著書があるジャーナリスト、作家の白河桃子さんは「共感力の欠如や伝統的な男尊女卑の価値観、独裁主義的な性格など、ハラスメントをしやすい因子を持った人は一定数いるが、どこでもハラスメントをするわけではなく、自分が許されている場だと(ハラスメントが)発動してしまう」と説明。「ハラスメントを許容しない社会全体をつくること」が大切だと呼びかけました。 そして、日本ペンクラブ会長で作家の桐野夏生さんは、自らが約30年前に作家デビューした頃を振り返り、「ハラスメントだらけだった。性差別によるいじめを受け、闘うことにした」と語りました。日本ペンクラブの会員向けにハラスメントの被害相談窓口を作ったことも明らかにし、「できることから始めていきたい」と述べました。