湖西の銭湯「みどり湯」のペンキ絵が25年ぶりに復活 明治12年創業
仕掛け人は「ゆとなみ社」の湊さん
静岡県湖西市新居町にある1879(明治12)年創業の銭湯「みどり湯」の浴室に、50年ぶりにペンキ絵が復活した。浜名湖とともに弁天島のシンボルタワー「赤鳥居」や世界文化遺産の富士山などが描かれている。湯船に浸かりながら楽しめる。新年を気持ちよく迎えてもらおうと「みどり湯」は年末年始も例年通り営業する。 浴室奥にお目見えしたペンキ絵は、男湯と女湯を通した壁の中央に富士山を配置し、浜名湖が広がる構図。生い茂る松のほか女湯では観光スポットの「赤鳥居」のペンキ絵がある。経営する4代目の青山勝さん(82)は「昭和40年代後半頃まではペンキ絵があったが塗り替えの際に描ける人がいなくなってしまった」と振り返る。その後、壁は水色となっていたが11月20日、滋賀県の女性の若手ペンキ絵師が公開制作して仕上げた。 仕掛け人となったのが、銭湯の事業継承や運営を手掛ける「ゆとなみ社」(京都市)で代表取締役を務める湊三次郎さん(34)だ。浜松市浜名区細江町出身の湊さんは学生時代に魅力ある銭湯への関心を高めて研究し、卒業論文にもまとめたという。現在運営する銭湯の一つ、豊橋市神明町の「人蔘湯(にんじんゆ)」への出張の際に「みどり湯」を訪れた湊さんが青山さんや妻みさ子さん(80)から話を聞き、壁の塗り替えに合わせてペンキ絵を描くことを提案したという。 1930年に建て替えた現在の「みどり湯」では「20年ほど前には1日70人ほどいた利用客が今では30人前後」(青山さん)になっていた。今回のペンキ絵の復活により常連客に加えて新規客の姿も見られるようになった。湊さんは「現役の銭湯にペンキ絵を描くことができたうえ、皆さんに喜んでもらえていると聞きうれしい」と語る。「まだまだ経営を続けていきたい」と意気込む青山さんは、年末年始の営業に向けて「ペンキ絵を見てゆっくりのんびりとした時間を楽しんでもらいたい」などと話す。 大人(中学生以上)400円、子ども150円、幼児100円。午後4時半~午後10時。水曜定休。ただし今月31日から来年1月3日は午後9時まで。