絶対にいきなりパワポを立ち上げてはいけない…プレゼン上手がやっているスライドづくりの鉄板ルール
プレゼンが上手な人はどんな準備をしているのか。研修講師の深谷百合子さんは「資料をつくるとき、いきなりパソコンに向かうのはやめたほうがいい。まずは紙に手書きで要素を書き出していったほうが準備がスムーズになる」という――。 【図表をみる】話す内容を弁当箱の「位置情報」で覚える ※本稿は、深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)の一部を再編集したものです。 ■プレゼン資料作りでいきなりパソコンに向かわない プレゼンの資料を作るときに多くの人がやりがちなのが、いきなりパワーポイントを立ち上げ、作り始めること。私もそうでした。「いいテンプレートはないかな」「どの色にしようか」といった、内容とは直接関係のないことに時間を使っていました。 また、「このスライドでは何を書こうかな」と考えながら、その間に「この文字は色を変えたほうがいいかな」「ここでアニメーションを入れようか」と、いろんなことに思考が飛びます。時間ばかりかかる割には、一発OKとなる資料にはなりません。「これはやり方を変えないといけない」と思い、パワーポイントにさわるのを工程の最後にしてみました。 代わりに取り出したのは紙です。まず、プレゼンで説明する内容の「素材」を紙に手書きします。「素材」とは、「プレゼンの目的」「聞き手は誰か」「一番伝えたいことは何か」「伝えたいメッセージの根拠となる事実と理由」です。 手書きなら、文字だけでなく「なんとなく浮かんだぼんやりしたイメージ図」もすぐに書けます。これらをざっと書き出したうえで、全体の流れを書きます。本でいう「目次」を作るイメージです。
■書く言葉が出てこないならまず一人でしゃべってみる 「そうは言っても、何を書いたらいいのか言葉が出てこない」という方もいるでしょう。そういうときには「話をする」といいです。名付けて「ひとりブツブツ会議」。まず頭の中にあったものを「話す」という行為で外に出し、次にそれが耳から入ってきてさらに考えが深まり、言葉が整理されます。ただし、話したことはシャボン玉のように時間が経つと消えてしまいますから、メモしておくか、録音して「形」として残しておきましょう。 こうして、自分の考えを言葉にできたら、スライドの設計図を書きます。A3の紙を8等分になるように折って、折り目に線を引き、1マスを1スライドとします。そこに、スライドのタイトルとメッセージ、写真やグラフのレイアウトなど、イメージ図をざっくりと描いていきます。漫画やアニメでいう「絵コンテ」のようなものです。 ここまでできると、あとはパワーポイントで「清書」するだけなので、あれこれ迷うことがありません。 ■話す内容を弁当箱に置き換えて位置情報でインプットする パワーポイントも資料もなしで、自分のアイディアや企画をプレゼンすることになったらどうしますか。ガッツリ台本を作って、暗記するという方が多いかもしれません。でも、本番でセリフを思い出そうとすると、視線は上や横に動きます。すると聞き手に「今、言うことを思い出そうとしている」というのが伝わってしまいます。 そうならないためには、台本を一言一句覚えようとしないことです。そのかわり、話す内容を「位置情報」として頭の中にインプットします。 例えば、次のような弁当の説明をするとします。 「弁当箱は4つに仕切られています。右側の大きな仕切りには海苔をのせたご飯が入っています。左側は3つに分かれていて、上には焼き魚、真ん中は野菜の煮物、下には漬物が入っています」 このとき、頭の中にこの弁当箱の映像を思い浮かべると覚えやすくなります。「右」は海苔をのせたご飯、「左上」は焼き魚、「左の真ん中」は野菜の煮物、「左下」は漬物というように、中身を「位置情報」としてインプットするのです。すると、文字で覚えるよりも再現しやすくなります。 プレゼンも同じです。大きな弁当箱の中に、「見出しをつけた箱」を頭の中で並べます。例えば、「左上」は「結論」の箱、「左下」は「理由」の箱、「右上」は「具体例1」の箱、「右下」は「具体例2」の箱というように。そして、詳しい内容を箇条書きの形で箱の中に入れます。 プレゼン本番では、頭の中に置いた箱を再現します。 「今から開けるのは、左下の理由の箱」というように、順序と位置を意識するだけ。あとはそのときの自分から出てきた言葉で説明します。思い出して出てきた言葉より、そのとき出てきた言葉のほうが力があるので、相手に伝わります。