余命宣告された仲間を励ます“ガンダムの絆”…SNSで応援の輪、立ち上がったマンガ家「自分は絵を描くことでなら伝えられる」
■自身も1月に初期の腎がんに「記事の中のpajaさんの境遇とそこに向かう姿勢が重なった」
――話を本作に戻しますが、記事を読んだ後にイラスト化しようと思われたのは、どのような理由からですか? 【本澤友一郎】とにかく自分が描きたいと思ったということが全てです。自分が作品に感じたことをどうにか形にできないかと思って描き始めました。また、記事のなかにあったpajaさんの大変な境遇と、そこに向かう姿勢が今の自分に重なり、果たして自分はこう生きられるのかと考えました。pajaさんのように模型を通じて生きることに向き合う人がいる。自分は絵を描くことでならその模型の魅力を伝えることができると考えたことも、きっかけになりました。 ――Xではご自身も腎がんであることを明かされていました。差し支えなければ、病状についてお伺いできますか? 【本澤友一郎】今年1月半ばに結石で搬送され、その際の検査でごく初期の腎がんが見つかりました。腎がんは症状も出ず、かなり進行するまで発見が遅れがちな本当に怖い病気です。自分は本当にたくさんの幸運が重なってすぐに切除ができたので、完治の可能性が大きくなりました。 ――ご自身も病気を経験されたわけですが、pajaさんの活動についてどのように思いますか? 【本澤友一郎】pajaさんの活動は本当にすごいことです。とても僕には同じことはできないと思います。 ――作品のお話にもどりますがこのジオングは「スカート」の中が見え、より巨大な印象を与える下からのアングルで描かれました。このアイデアはどのように着想したのですか? 【本澤友一郎】RGジオングの大きな見どころは、この分割するスカートとブースターの密度感だと思います。ジオングはやはり圧力を感じさせる機体であって欲しいので、上からプレッシャーをかけるように、こちらを見据える姿でここを目立たせるように描きました。ブースター周りのディテール、パースの取りにくいスカートや円の連続の形状はかなりメカの苦手な身には堪えましたが、なんとか形にできてよかったです。 ――「pajaさんのジオング」を描くにあたって、どのような気持ちで制作に臨まれましたか? また、どんなところに苦労しましたか? 【本澤友一郎】「斜に構えず」「ディテールから逃げずに描き切る」という2つを意識し描きました。苦労したことは…、メカの上手い人はディテールを飛ばすのが本当に上手いと思うんですが、下手な自分はそれはできない。なので、とにかく描き切ることで絵の魅力を上げることに集中しました。