北野武最新作『Broken Rage』ベネチアで6分間のスタンディングオベーション「トップ3に入る程反応が良かった」:第81回ベネチア国際映画祭
北野武監督の新作映画『Broken Rage』が現地時間6日、第81回ベネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門(特別招待作品)で世界初上映された。会場には北野武監督をはじめ、メインキャストの浅野忠信と大森南朋も出席。上映後には6分間のスタンディングオベーションが起こり、北野監督が照れくさそうに制止する一幕があった。 【画像】ベネチア映画祭で“キタノ”コール!ワールドプレミアの様子 北野武監督が脚本&主演も兼任した新作のテーマは「暴力映画におけるお笑い」。本編は62分の2部構成で、前半は警察とヤクザの間で板ばさみになった殺し屋の奮闘を描く骨太のクライムアクション、後半は前半と同じ物語をなぞるコメディータッチのセルフパロディーとなっている。北野監督は主人公の殺し屋・ねずみ役、浅野と大森は主人公を麻薬捜査の覆面捜査官として協力させようとする刑事役を務める。
公式記者会見は、世界中から100名以上の報道関係者が詰めかけ満員となった。北野監督は「劇場の人向けではなくテレビ画面で観る人に向けて、今までやってみたかったことをテストでやってみた。気楽に撮ってみたら、まさかこんな(ベネチアに来る)ことになるとは。もっと真剣にやるべきだったな」と企画誕生の経緯を“北野節”全開で語る。
「実際にインターネットをみたりして意外に規制が外れて『よくこんな悪口が言えるな』と楽しくみているが、スピード感に飲まれているのか、(本作の編集にあたり)映画の<間>じゃなくてインターネットの<間>になった」と2部構成によって実験的な作品になったと北野監督。新たな挑戦を感じられる中でも、「暴力もお笑いも感情を揺さぶるもの。人に対する衝撃という意味では、お笑いも暴力である。暴力的なものなのか、愛なのか、日常的なものなのか、観る人によって違うのは映画や絵画などのアート。人が気付いていないことを、これが暴力だ、これが愛だとピックアップするのが大事なんだと思う」と作品のテーマについて熱弁した。 前作『首』に続いて北野監督とタッグを組んだ浅野は、「武さんのような、違うところで活躍されていた方が映画に来て、まっすぐな目で我々に向き合ってくださるっている気がするんですよね」と切り出し、「他の映画監督とは全然違う要求をされるので、役に対して応えていく作業を現場でしていかないと北野監督が認めてくれないということがわかったので、役に対する取り組み方が変わったなと。前作の『首』にしても今回にしても常に新しいことにチャレンジしている姿勢も含めて、俳優として学ぶことが多かった」と充実感をにじませる。