【特集「やっぱりドイツ車が好き!」⑥】巧妙なるシナリオ作り。楽しむ世界観の多様性【ポルシェ 911ダカール/911 GT3 RS】
予想を超える広がりが示す、ドイツ車の新たなる方向性
GT3 RSが秘める走りのポテンシャルを一般公道上ですべて引き出すことなど「到底困難」を承知で走り始めると、まずはそのフットワークのテイストがすこぶる硬派である一方、それがまったく不快感には繋がらないことに驚かされた。 その理由として、路面情報を濃密に伝えつつもそこに無駄な動きは一切伴わず、強固なボディが振動の残留を許さないことが挙げられそうだ。 フロントに6ピストン式、リアに4ピストン式のモノブロックアルミキャリパーを擁するというスペックから予想したよりも、ブレーキが発する立ち上がり減速Gが弱いことに当初は戸惑いを覚える。 だが、きちんと踏力を与えればそれに応えて強烈な効きを示すことに即座に気が付いた。こうした2ペダルモデルで、コンマ何秒を削るサーキットドライビングに、左足ブレーキはマストのテクニックだろう。 それにしても強烈だったのは、走りのペースが高まるにつれて顕著になってくる、ハンドル操作に対してのターンイン挙動のシャープさである。 これが、専用にチューニングされたリアアクスルステアリングやダブルウイッシュボーン式フロントサスペンションの成せる技なのかどうかは定かではないものの、ベース車両である通常のGT3以上の切れ味を感じられた、というのは確かな印象だ。 故郷がサーキット、という事柄をこれまで以上にストレートに演じるGT3 RSの仕上がりは、ある面「予想したとおり」と言える一方、すでにワイドであった911ならではの世界観に、さらなる予想を超える広がりをもたらしたのが、ダカールというモデルだ。 それらは、これまで「質実剛健」という言葉で紹介されることの多かったドイツ車の価値観に、また今後の新たな方向への展開を期待させるに十分なものと、そう紹介できるのではないだろうか。(文:河村康彦/写真:永元秀和)
試乗車 主要諸元
【ポルシェ911 GT3 RS 主要諸元】 ●全長×全幅×全高:4572×1900×1322mm ●ホイールベース:2457mm ●車両重量:1450kg ●エンジン:水平対向6DOHC ●排気量:3996cc ●最高出力:386kW(525ps)/8500rpm ●最大トルク:465Nm/6300rpm ●燃料・タンク容量:プレミアム・64L ●トランスミッション:7速PDK ●駆動方式:RR ●タイヤサイズ:前 275/30ZR20・後 335/30ZR21 ●車両価格:3134万0000円 【ポルシェ 911ダカール 主要諸元】 ●全長×全幅×全高:4530×1864(ミラー含む2033)×1338mm ●ホイールベース:2450mm ●空車重量(DIN):1605kg ●エンジン:対6DOHCツインターボ ●総排気量:2981cc ●最高出力:353kW(480ps)/6500rpm ●最大トルク:570Nm/2300-5000rpm ●燃料・タンク容量:プレミアム・67L ●トランスミッション:8速DCT(PDK) ●駆動方式:4WD ●タイヤサイズ:前245/45R19、後295/40R20 ●車両価格:3099万円<限定世界2500台>
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