県と連携、就農後押し 農地探しやハウス設計を支援 岐阜・JAにしみの
岐阜県の冬春トマト産地、JAにしみのは、行政や農業関係者、生産者組織などと連携し、冬春トマトの新規就農者の育成・支援に力を入れている。県の就農支援センターが栽培・管理技術を指導し、JAでは就農準備の農地探しやハウスの設計など、認定新規就農者となるための就農計画を研修生の意向を踏まえて作成する。 県は2014年6月、高齢化や後継者不足などの問題を抱える農業の担い手不足解消に向けて同センターを開所した。同センターでは14カ月にわたって、主に県が開発した「トマト独立ポット耕栽培システム」を用いた冬春トマトの栽培研修をする。 これまでに27人が研修を修了しており、このうちの20人が県内産冬春トマトの8割を占める最大産地の海津市で就農し、JA海津トマト部会の一員として活躍する。同部会のトマトは「美濃のかいづっ子」のブランド名で出荷。適度な酸味と甘味、深い味わいが特長だ。 2年前に就農した同センター8期生の東野竜童さんは、海津市のハウス31アールで3品種を栽培する。東京の飲食店で働いていたが、好きな作物を作る農家になりたいという思いで就農を希望した。研修を経てからは同部会に入って定期的に勉強会や交流会に参加し、生産者同士で技術・情報を共有している。 JAは、新規就農者に経営面での不安を解消するため、農業経営の知識や収穫率や出荷率のデータを生産者に提供。農業者としての生活や仕事ができるよう、常に生産者の声に耳を傾けサポートしている。 東野さんは「JAには出荷や業務管理のことを教えてもらい、部会などの生産者とのつながりへと導いてくれた。今後は就農希望者の手本となるように収量や高品質にこだわっていきたい」と意気込んだ。 JA海津集出荷センターの牧野洪輔センター長は「生産者との対話を大切にして、抱える不安や疑問を取り除き安心してトマトの栽培・経営をできるよう支援していきたい」と話した。 JAでは今後も、地域の産地維持に向けた担い手確保のため、品目別の現地検討会や勉強会の開催などを予定している。 地域とJAが一体となって新規就農者を受け入れ、地域に定着してもらい、収量・所得増大を目指していく。
日本農業新聞