日本最大の刑務所で見た受刑者に「やさしい」取組とは?最高齢は94歳…進む塀の中の「高齢化」と「処遇改善」
食事にベジタリアン・豚肉抜きメニュー…外国語新聞も 進む外国人対応の居室や食事
そして、白川秀史刑務所長、細川隆夫法務省矯正局総務課長らの案内のもと刑務所内へ。静脈認証でロックが解除された扉の向こうに受刑者らが暮らすエリアが広がる。刑務所内は受刑者が寝食を行う居室棟と、工場など作業棟に大別される。受刑者の居室は単独で使用するいわゆる独居房と集団で生活する部屋がある。いずれもトイレ、洗面スペースがあり、布団など寝具と小さな本棚、テレビが備え付けられている。本棚には趣味の雑誌や、小説などそれぞれの嗜好で本が並んでいた。 コロナ禍は感染者、濃厚接触者などのエリア分けが大変だったというが、他の刑務所と少し違うのは外国人に対応していることだ。日本人よりも体格が大きいこともあり、やや広い居室があり、畳張りではなく床はタイルでベッドも用意されている。高齢受刑者も起き上がりなどが困難な場合はベッドを選ぶケースがあるという。将来的にはフローリングに張り替えていくことも計画している。 画一的な対応でないのは食事も。作業の種類によって米などの主食の量を変えているという。体力を使う作業の受刑者には多め、部屋で軽い作業をする者などには少な目といった具合だ。また、府中刑務所では所内でパンを焼いていて主食が米でない外国人受刑者に提供されている。日本人もパンを好む者も多く週に4回はパン食なのだという。ほかにもベジタリアンや豚肉を抜いたメニューの対応も行っているという。ちょうど見学した翌日の23日は天皇誕生日だったが歌舞伎揚げが一つ追加されるとメニュー表に書かれていた。新聞も受刑者の言語により日本の新聞はもとよりJapannews、人民日報から選択できる。 作業場も見学した。作業は懲役受刑者の義務なのだが、勤労意欲を高め職業能力を身につける目的もある。トートバッグなどの革製品の加工や洋裁、印刷など作業場を見て回った。時折、刑務官の号令の声が響くほかは静かで、いずれの受刑者も黙々と作業に取り組んでいる。みな作業着姿で帽子をかぶり、マスクをしているが白髪や手のしわからも年老いた人が多い印象を受けた。