日銀総裁の任期満了まで残り約1年 黒田スマイルは何を意味するのか?
2018年3月(厳密には4月)までとされる黒田総裁の任期満了まで残り約1年となったことで、次期日銀総裁を巡る話題が盛り上がってきました。 【連載】マーケットの動きがわかる 経済指標深読み 筆者は昨年12月の段階で次期総裁候補を以下の4名に絞り、その就任確率を黒田現日銀総裁(45%)、本田悦郎氏(45%)、雨宮正佳氏(5%)、伊藤隆敏氏(5%)としていましたが、その後の状況変化を踏まえて予想を変更します。 新たな予想は黒田総裁の就任確率を45%で据え置く一方、本田氏の就任確率を25%に引き下げ、中曽現副総裁の就任確率を20%とし、雨宮氏、伊藤氏をそれぞれ5%で据え置きます。(解説:第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)
黒田総裁続投の可能性を示唆するものは?
なお、この5名のプロフィールは上の表のとおりです。 黒田総裁の続投シナリオを最も高い確率で据え置いたのは、任期満了まで1年を切ったこの期におよんでもなお黒田総裁が勇退の意思表示をしていない、或いはそうしたうわさが全く流れていないことを重視したからです。また、次期総裁候補として名の挙がっている本田氏が黒田総裁の続投を肯定している点も踏まえました(1月25日のブルームバーグの取材に対して)。 筆者は黒田総裁の年齢を考慮し、ご本人が人生設計の観点などから総裁続投を固辞する可能性があるとみていましたが、現段階においてそうしたメッセージは発信されていません。 3月の金融政策決定会合後の記者会見でも、記者からの質問に「私の任期は2018年の4月までですが、総裁の任命は国会の同意を得て、内閣が任命するということですので、私から何か申し上げる立場にはございません」と、笑みを浮かべながら応酬していました(※これは総裁会見を毎回観ている人の多くが共感してくれるはずですが、黒田総裁は核心を突く質問に対して笑みを浮かべるクセがあります。筆者には今回の黒田総裁の笑みが“続投もまんざらではない”と言ってるように見えました。飽くまで個人の主観ですが……)。 総裁人事を巡る根回しが始まるであろう夏頃までに続投を否定しない場合、黒田総裁が次期総裁に任命される可能性が一段と高まっていると考えるべきでしょう。また、“べき論”でいえば、黒田体制が継続するというそのこと自体が金融市場の安定を通じて日銀の緩和効果を高めると期待されるため、黒田総裁が続投する“べき”と言えます。この点は本田氏も前述のインタビューで同様の見解を示しています。